総務省は6月2日,今後の電話番号の制度や運用を議論する「IP時代における電気通信番号の在り方に関する研究会」の第3回ワーキング・グループを開催した。今回の議題は,(1)0AB~J番号のひっ迫対策,(2)ENUMトライアルへの対応,(3)新規サービス受け付けへの1XY番号の使用---の三つ。事務局からワーキング・グループとしての報告書案が提示された。

 中でも注目されたのが,(3)の新規サービス受け付けへの1XY番号の使用。1XY番号とは,110(警察)や119(消防)など,1で始まる3けた特番のこと。この1XY番号を「NTT東西地域会社の116番のように各事業者が営業・料金案内用に独自に持つべき」と前回会合で日本テレコムが主張した。しかし,1XY番号で割り当てることができる番号は100個だけ。既に53個が使用中で,事業者の増加なども考えると,各事業者に1XY番号を割り当てる余裕はない。

 そのため,「短い番号の使用にどれだけの優位性があるのか,あるとした場合もユーザーへの影響を十分に検討する必要がある」として,見送られることとなった。日本テレコムも「今後,1XY番号の使用について検討することがあれば考慮していただきたい。今回の結論に賛同する」という意見を示した。

 (1)は,0AB~J番号を利用できる光・IP電話サービスや直収電話の登場で,今後0AB~J番号の不足が予測される問題への対策。中でも大きな原因となっている番号ポータビリティによる二重番号の利用を中止する方向性に大きな変更はなかった。それまでに枯渇した場合は同一の都道府県内の空き番号を番号ポータビリティの“裏番号”として利用する。

 (2)は,ENUMの実証実験(ENUM トライアル)への日本国内での対応方針。ENUMは,電話番号を用いてインターネット上の様々なサービスに接続する仕組みである。トライアルに利用するENUM DNSサーバーのITU-Tへの登録は総務省の番号企画室が行い,実際の運用・管理は外部の機関に委託するという結論を出した。

 6月15日に開催する第4回会合では,今回の内容を含めた全体の報告書案について議論する予定。その後,パブリック・コメントによる意見募集を経て最終報告書をまとめる。