パシフィコ横浜で開催中の「Broadband World Forum(BWF) ASIA」において,日本アルカテルが高速光アクセス・システム「PON(passive optical network)」の新規格「G-PON(Gigabit PON)」に対応した製品を出展している(写真)。電気通信事業者向け仕様のG-PON製品の商用化は世界初という。

 PONは,光ファイバを複数ユーザーで共用する仕組み。FTTHサービスを低価格で提供可能になる。その中でもG-PONは,2004年2月にITU-T(International Telecommunication Union Telecommunication Standardization Sector)がG.984.xとして標準化した「PON」の新規格。ITU-Tが98年10月に標準化した「B-PON(Broadband PON)」を改良し,イーサネットとの親和性を向上。最大2.4Gビット/秒と高速化した。

 今回アルカテルが出展した「7342 ISAM FTTU」は,最大で2000ユーザーを収容可能な通信事業者向けのG-PON製品。会場内では,G-PONシステムを使って,ユーザー宅内に映像を配信するデモを披露した。

 BWFに合わせて来日中の仏アルカテル 固定通信ビジネスグループ・プレジデントのミシェル・ライエー氏は日経コミュニケーションのインタビューに応え,「G-PONは,高速である上にQoS(quality of service)機能も持つ。そのため通信事業者のトリプルプレイ・サービス向けに最適」とメリットを強調した。なお,米の大手通信事業者SBCコミュニケーションズは,今回のアルカテルのシステムを使って,トリプルプレイ・サービスを提供する予定。

 日本では,2004年末からB-PONに変わって最大1Gビット/秒のGE-PONの導入が進んでいる。B-PONやG-PONはイーサネットのほか電話やTDMなどフルサービスの収容に対応しているが,GE-PONはイーサネットに限定している点が異なる。

 当初G-PON製品の価格は,GE-PONと比べて2倍程度になる見込み。「北米やオーストラリアでは,今年の末にかけてB-PONからG-PONへの置き換えが明確になるだろう。既存のB-PONの約1割強はG-PONになると予想している」(ライエー氏)。