パシフィコ横浜で開催中の国際イベント「BROADBAND WORLD FORUM ASIA 2005」の初日,5月30日のワークショップでNTT持ち株会社や英BTらが登壇し,次世代の統合IPネットワークについて議論した。ここでいう統合IPネットワークとは,通信事業者が既存の固定電話網を廃棄する,もしくは別途構築するIP網のことである。

 NTT持ち株会社からはNTTサービスインテグレーション基盤研究所サービスネットワークイノベーションSEプロジェクトの村上龍郎プロジェクト・マネージャーが登壇(写真上)。国内でのブロードバンド・サービスの普及状況などを引き合いに出しながら,2004年11月に発表した「中期経営戦略」を紹介した。

 BTも2004年6月に発表した固定電話網のIP化計画「21世紀ネットワーク・プログラム」を中心に,IP網の構築計画や新サービスのポートフォリオなどを,シニア・バイス・プレジデントのジーンマーク・フランゴス氏が説明(写真下)。加えて同社が進めるFMC(fixed mobile convergence)サービス「Bluephone」のメリットなどを熱弁した。

 話題が集中したのは,次世代IPネットワーク上で提供する新サービス。具体的には,固定通信と移動通信の融合サービス「FMC」とIP放送を含むトリプルプレイである。

 ここで香港PCCWのグループ会社でサービス提供を担うカスケードのシニア・バイス・プレジデント,ルーイ・マン・タット氏は「FMCサービスを2006年には提供したい」と明言。3G携帯と無線LANを使う方法を検討中であることを明らかにした。PCCWは携帯電話事業を持っていないが,「どういった形で携帯電話機能を提供するか現時点では明らかにできない」とした。

(山根 小雪=日経コミュニケーション