総務省は5月25日,「次世代IPインフラ研究会 IPネットワーク ワーキンググループ(WG)」の第5回会合を開催した。今回の会合では,高度通信システム相互接続推進会議(HATS推進会議)と日本インターネットプロバイダ協議会(JAIPA)がそれぞれ意見を発表するとともに,事務局がワーキング・グループとしての報告書素案を提示した。

 インターネット接続事業者(プロバイダ)の集まる業界団体であるJAIPAは,「(固定電話網をIP化した後も)インターネットにかかわるサービスの認証,課金といった基本機能は,プロバイダが継続して提供すべき」(JAIPA)と提言した。

 JAIPAの渡辺武経会長は,「将来的にIPアドレスの付与ができなくなるのではないかとプロバイダ各社は大きな不安を抱えている」(渡辺会長)と業界の悩みを明らかにした。「通信事業者の固定電話網がIP化され,プロバイダと同様にIP電話サービスを提供する場合,すべてのIPアドレスをプロバイダが付与するのは無理かもしれない」を発言。その上で,将来の普及を見込むIPv6においても,アドレス付与をプロバイダで行いたい考えを示した。

 座長を務める早稲田大学理工学部の後藤滋樹教授は本誌の取材に対して,「将来はブロードバンドと統合IPネットワークの世界になるという理解は,通信事業者とプロバイダで一致している」とし,両者の意見はかい離したものではないとした。

 今回の会合で事務局は,ワーキング・グループとしての報告書素案を提示した。6月下旬に開催する次回会合では,報告初案を検討する予定である。

(山根 小雪=日経コミュニケーション