韓国は政府肝いりの無線ブロードバンド・サービス「WiBro」を2006年に始める。無線ブロードバンドの通信規格「WiMAX」をベースにしたサービスで,KTが4月に,SKテレコムも6月までに始める予定だ。韓国情報通信部でWiBroの政策などを担当した電波放送管理局電波放送企画課の宋相勲・工学博士(写真)にWiBro政策の背景などを聞いた。

――KTは固定通信事業者,一方のSKテレコムは移動体通信事業者だ。そのどちらも提供するWiBroではどのようなサービスが提供されそうなのか。

 両社で考え方は違ってくる。政府でこうすべきだとは言わないが,最初はパソコンから始まり最終的には携帯型まで順にサービスが出来ていくだろう。固定系の事業者と移動体の事業者が互いに競争したほうが,新しいサービスが出る可能性が高い。提供する会社を絞る代わりにMVNOを義務化する。

――固定事業者であるKTが無線サービスを提供しようとする理由は。

 世界的にも有線の事業者は収入が下がっている。特に固定(電話)の加入者が減っており,その対策にみな悩んでいる。KTを含む有線のサービスを提供する事業者は,収入を上げるために結局無線しかないと思っているのではないか。

――SKテレコムはEV-DOなども提供しているが,さらにWiBroも始めるのか。

 ユーザーにとっては同様のサービスがいくつも出てくることになる。そのため,デュアルモード,トリプルモードの端末もこれから出てくるのではないか。今すでに衛星DMBと移動通信が一つになった端末はできている。ここにWiBroが入るのはそれほど難しくないだろう。

――WiBroは2.3GHz帯を使ってサービスを提供すると聞いた。日本ではWiMAXで使える周波数帯がまだ空いていない。

 韓国の場合はつねに業界と話し合って,それが本当に国家的に必要であるならば,いち早く周波数を供給するための措置をとる。意思をもってすれば短時間で調整できると思う。政府のビジョンによって周波数政策は変わってくる。

(山崎 洋一=日経コミュニケーション