総務大臣の諮問機関である情報通信審議会(情通審)は5月17日,電話を全国あまねく提供するための制度「ユニバーサル・サービス」について話し合う会合を開催した。今回は仮に負担すべきコストが決まった場合,どのような方法で事業者やユーザーが負担するのかについて議論した。
事務局である総務省側は,「利用している電話番号ごとにコストを負担する制度が公平であり,負担を求める対象の把握が容易ではないか」との提案を示した。現在の制度では,必要なコストを各事業者の売上高の割合で負担することと定めている。制度を変更する背景には,IP電話のように自社ユーザー間の通話が無料となるサービスが台頭してきたことがある。また,各社の算出対象となる売上高の把握も煩雑さが指摘されていた。
この提案に対して,委員会主査である法政大学経済学部教授の黒川和美専門委員は,「番号で把握するのは分かりやすい」と評価。他の多くの委員も賛成した。この案が通ると,電話番号を持たないようなインターネット電話はユニバーサル・サービスの負担の対象とならなくなる。一方で,仮にユーザーが直接コストを支払うこととなった場合は,一人で複数の電話番号を保有しているユーザーは負担が増えることとなる。
このほか,NTT東西地域会社が収容局ごとの電話サービスの収支について説明した。ただし資料は委員と総務省限りとなり,一般には公開されなかった。
総務省は早ければ6月にも答申案を提示。総務省は議論を秋までに収束させ,2006年4月にも運用を始めたい考えだ。次回の委員会は5月31日に開催する。