5月12日のNTTグループ決算で明らかにされたNTT東日本とNTTコミュニケーションズの社長交代。次期は,NTT持ち株会社の高部豊彦副社長(写真上)がNTT東日本の社長に就任し,NTTコミュニケーションズは和才博美副社長(写真下)が社長に昇格する。これらの人事の狙いをNTT持ち株会社の和田紀夫社長は,「(2004年11月に発表した)中期経営戦略を推進するための布陣」と説明した。中期経営戦略では,2010年までに3000万世帯の光アクセス化,フルIP化した次世代ネットワークの構築,固定通信事業のコスト削減などが掲げられている。

 NTT東日本の決算発表後,NTT持ち株会社の副社長となるNTT東日本の三浦惺社長は「3年間社長を務め,いろいろお世話になりました」とだけ簡単にあいさつ。NTT東日本の次期社長となる高部氏は「大役で身が引き締まる思い。NTT東日本は大変厳しい経営環境にある。三浦社長を引き継ぎ,光化・IP化を推進し,経営基盤を確立する。東日本グループが一丸となり,お客様のニーズに対応できるよう“現場力”を一層ブラッシュアップしたい」と抱負を述べた。

 NTTコムの鈴木正誠社長と,次期社長の和才副社長も決算発表後にあいさつした。鈴木社長は「6年前のNTT再編以後,大変な技術革新の中で,コミュニケーションズは“IP化”と“グローバル化”の二つの柱を掲げて全力で突っ走ってきた。IP化は,長い変革なのでとても一世代で成し遂げる事業ではない。私は非常に重要な時期にいい仕事,経験をさせていただいて感謝している。まだボケるには早い。しばらくは和才体制が地に足をつけて動き出すまでお手伝いする」と結んだ。

 和才副社長は「大変責任の重い,身に余る大役。鈴木社長が積み上げたこれまでの実績を,さらに実りあるものに仕上げていくのが,まずは私の使命。それをベースにし,厳しい競争環境と技術革新の中にあるが,競争力強化を図る新サービスの創出,コスト削減を目指した構造改革も併せて取り組みたい」と決意を述べた。

(宗像 誠之=日経コミュニケーション