イー・アクセスは2005年5月12日,2004年度(2004年4月~2005年3月)の決算を発表。席上,1.7GHz帯の携帯電話事業について千本倖生・代表取締役会長兼CEOは「携帯免許取得に向けて着実に,周到に準備を進めている」と,強い参入意欲を改めて述べた。

 千本CEOはさらに「5月下旬には日本国内で初めての1.7GHz帯W-CDMAの実証実験を開始する。実際にW-CDMAのシステムを伴った実証実験であり,電波だけを出した(他社の)実験とは性質が違う」と暗にソフトバンクBBをけん制。先行して取り組んでいることを強調した。

 同社の2004年度売上高は,前年度比51.8%増の579億700万円。営業利益は前年度比124.9%増の93億900万円,経常利益は前年度比196.2%増の80億6800万円と大幅な増収増益を達成。ADSL回線数が前年度比36万回線増の185万回線となったことや,2004年7月に営業譲受されたAOLジャパンのインターネット接続事業が収益に貢献したとしている。

 こうした好業績に加え,2005年3月には携帯事業への設備投資を想定した普通社債600億円を発行。携帯事業参入ヘ向け「資金面での不安も一層されつつある」(千本CEO)とした。

 今後,総務省は早ければ6月にも1.7GHz帯での携帯電話事業に関する免許方針案を公表する計画で,その後パブリック・コメントの募集を経て7月に免許方針が決定される。割り当てられる事業者は2社となる見込み。現在,イー・アクセス,ソフトバンクBB以外に,NTTドコモとボーダフォンが割り当てを希望している。

(大谷 晃司=日経コミュニケーション