米インターネット検索サイト大手のグーグルは4月20日から,企業向けに同社のサイト同様の検索機能を提供する専用装置「Google 検索アプライアンス」を発売した。同製品を開発したベルコビッチ・マネージャに,開発の狙いと日本市場への戦略を聞いた(写真)。


--新製品について教えてほしい。

 Googleがインターネット上で提供している高度な検索機能を,企業内やポータル・サイト内に特化して提供する製品だ。Googleの検索エンジンで利用しているアルゴリズムをそのまま用いた高度な検索を瞬時に実現する。製品は専用装置(アプライアンス)で提供するため,導入も容易だ。

 HTML(hypertext markup language),PDF,米マイクロソフトのOfficeドキュメントなど,検索可能なファイルの種類は220種類以上。検索可能なドキュメントの数により,(1)最大150万を検索できるGB-1001,(2)同300万のGB-5005,(3)同1500万のGB-8008--の3タイプを用意した。価格は(1)のGB-1001で600万円から。国内の販売代理店は三井物産が担当する。

--開発の経緯は。

 数年前から,企業ユーザーから「Googleの検索機能を社内に特化する形で利用できないか」という要望をもらっていた。「インターネットでは簡単に情報を検索できるのに,社内の文書を探すのには膨大な時間がかかる」というわけだ。新製品は,こうした声に応えられる。必要な情報を瞬時に検索でき,生産性は飛躍的に向上するはずだ。

 企業内に特化した形の検索サービスは,2004年11月からNTTコミュニケーションズと協力してASP(application service provider)サービスの形で提供していた。だが,アプライアンス型のニーズも日本企業からも多かったため,出荷を決めた。ニーズを見て,他のアジア諸国でも販売したい。

--Googleのポータルサイトで提供する検索機能との違いはあるのか。

 検索技術は通常のポータルサイトとまったく同じだ。ただし企業利用を想定した機能も用意する。例えば,企業内の部署など,グループ単位で検索できる文書やデータに制限をかける設定や,Lotus Dominoサーバーの検索も可能だ。

 インタフェースや使い勝手は,できるだけ一般のGoogle検索と同じにした。導入は簡単。専用装置をイーサネットに接続し,あとはWebブラウザで検索対象となるデータベースやサーバーを設定するだけだ。通常は1時間程度で終わると思う。検索する際のインタフェースも,通常のGoogleのポータルサイトのようにできる。もちろん,カスタマイズして企業ごとに変更も可能だ。

 今後はさらに機能拡張も予定している。例えば,現在Googleニューズで提供しているアラート機能。事前に登録しておいたキーワードに基づいて,該当するニュースが入った場合にメールで通知するプッシュ型の機能だ。これを応用して,企業内でユーザーが必要な情報がアップされた際に,アラートしてくれる機能などを考えている。とにかく,Googleで提供中のあらゆる機能は企業向けにカスタマイズ可能。ニーズを見ながら機能追加していきたい。

--導入実績を教えてほしい。

 米国では,大手金融機関や製造業,メディア業界などを中心に導入実績がある。具体的には,クレジット・カード会社のアメリカン・エキスプレスや航空機メーカーのボーイングなどだ。日本の企業では,NECや富士通が既に導入している。NECのポータル・サイトのキーワード検索の右には,「Google」マークが付いていることで分かると思う。