総務省は4月18日,「次世代IPインフラ研究会 IPネットワーク ワーキンググループ(WG)」の第4回会合を開催。ITU-T(国際電気通信連合の電気通信標準化部門)などが国際標準化を進めている「次世代ネットワーク(NGN)」の動向を紹介した。国内における次世代IPインフラ研究会の議論の方向も,国際標準となるNGNの動きを強烈に意識したものになりそうだ。

 NGNの定義は,「広帯域かつQoS(quality of service)制御可能な技術を活用したオール・パケットベースのネットワーク」。ITU-TがIETF(Internet Engineering Task Force )などと連携して標準化を推進しており,音声だけでなく映像やデータなどの広範なサービスを提供,固定通信と移動通信の融合に対応――などの機能を持つアーキテクチャとなる。3GPP(第3世代移動通信システムの仕様策定グループ)が標準化したコア制御技術「IMS(IP multimedia subsystem)」がベースのネットワークになる。2005年5月にも,ITU-Tが「リリース1」と呼ぶ第一弾の標準化が終わる予定。2006年末を予定とする「リリース2」,その後「リリース3」で完結するまで標準化作業が続く。

 各国の主要通信事業者は通信網のオールIP化を進めようとしているが,その国際的な相互接続性などを確保するため,NGN標準化の動きは大きく影響する。ITU-Tのワーキング・グループに参加しているNTT持ち株会社の森田直孝サービスネットワークイノベーションSEプロジェクト主幹研究員は,「ネットワーク設計の基本方針やQoSのメカニズム,セキュリティ要件などに,日本の事情やニーズをできるだけ反映できるようにNGNの標準化には積極的に対処するべき」と主張する。

 「現在,もっともNGNの標準化活動が進んでいるのは欧州」(総務省の田中謙治 情報通信政策局通信規格課長)。しかしアジアでも日本や中国,韓国が中心となって,各国の標準化機関が意見交換や連携のための会合を開いている。日本からは情報通信技術委員会(TTC)と電波産業会(ARIB)が参加。「日本と中国,韓国がそれぞれNGNの実証実験環境(テストベッド)を構築して,相互接続試験を実施する,などの提案が出ている」(田中課長)と盛り上がりを見せる。

(宗像 誠之=日経コミュニケーション