総務省の「ワイヤレスブロードバンド推進研究会」は,3月25日に第5回会合を開催。4月上旬から5月中旬まで,同研究会の中間報告を踏まえた無線ブロードバンド・システムの具体的な提案を募集すると決めた。新しい無線ブロードバンド(BB)・システムのアイデアを持つ企業にとっては,ここで提案を逃すとサービス実現が大きく遠のく恐れがある。

 応募する企業は,無線ブロードバンドのシステムについて,想定される用途や無線伝送技術,使用したい周波数帯と周波数幅などを記した具体的な提案をする必要がある。この提案をベースに,無線ブロードバンド環境を整える施策について議論を進めるからだ。「周波数分配に影響することも考えられる」(総合通信基盤局電波部電波政策課の今井清春・周波数調整官)ため,新たな周波数での事業を狙う事業者は研究会への提案が極めて重要になる。

 締め切り後に研究会事務局が提案を取りまとめ,6月に開催予定の同研究会会合で発表する。その後,「自宅や職場から持ち出したパソコンを外出先でブロードバンド環境で使う」や「有線によるブロードバンドの提供が困難な地域向けに無線でブロードバンドを提供する」といった用途ごとにSIG(special interest group)を構成し,提案をベースに周波数分配などシステムの具体化に向けた検討を重ねる。SIGの議論の結果まとめられた具体的なシステム案は,今夏以降にワイヤレスブロードバンド推進研究会に報告され,その内容について再度議論する予定だ。なお用途ごとに採用するシステムが単一か複数かなどは未定だ。

 なお第4回までは,次世代無線ブロードバンドの利用シーンや想定される技術について洗い出しを行っていた。その結果,第4世代携帯電話,WiMAX(worldwide interoperability for microwave access),IEEE 802.20,次世代無線LAN,ITS(高度道路交通システム),ZigBee,UWB(ultra wideband)などが検討の対象に挙げられている。

(山崎 洋一,白井 良=日経コミュニケーション