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ソフトバンク・グループの投資会社であるソフトバンク・インベストメント(SBI)は3月24日,ニッポン放送からフジテレビ株式35万3704株を株券消費貸借により借り受けることで合意したと発表した。これによりSBIは,フジテレビの発行済み株式の13.88%を保有する筆頭株主となる。貸借期間は2005年3月24日から2010年4月1日まで。この5年間は,フジテレビ株式の議決権はSBIに移動する。
またSBIとフジテレビ,ニッポン放送の3社でベンチャー・キャピタル「SBIビービー・メディア投資事業有限責任組合」を設立。今後,コンテンツやメディア,ブロードバンド関連企業への投資を行う。SBIの北尾吉孝社長は「コンテンツの目利きや投資先のインキュベーション支援のため,フジテレビとニッポン放送のノウハウを借りたい」とする。フジテレビ株式を借り受けたことについては「フジテレビとニッポン放送のリソースを借りることになるため,会社と会社の関係を密にするため資本提携に至った」と説明した。
現在,フジテレビはライブドアからの買収攻勢にさらされている。そのため今回のSBIとの資本提携は,ライブドアとは別の企業に株式を移動する企業防衛策「ホワイトナイト(白馬の騎士)」ではないかとの質問もあった。北尾社長は「ホワイトナイトという意思はない。ただ結果として後からそう言われることはあるかもしれない」と言葉を濁した。
フジテレビからすると,今回の措置が企業防衛策として機能する可能性が高い。株券消費貸借では,借り受けた側のSBIの意志でニッポン放送に株式を返却することは可能だが,貸し出した側のニッポン放送が返却を要請することはできないからだ。このまま行くとニッポン放送の筆頭株主となったライブドアは,ニッポン放送が保有するフジテレビ株式のうち貸し出した分の議決権を失うことになる。
なおソフトバンク・インベストメントは,ソフトバンクの100%子会社で金融事業統括会社のソフトバンク・ファイナンスが株式を38.9%保有する関連会社である。北尾社長は会見中,「当社はソフトバンクの子会社ではない。今回の件はソフトバンクの孫正義社長には相談をしておらず,ソフトバンクとは一切関係ない」と強調した。