NTT東日本とNTT西日本は3月1日,それぞれ2005年度の事業計画を発表し,両社とも「ひかり電話」を前面に押し出す方針を明らかにした。ひかり電話は,加入電話で利用中の「03」などの電話番号を引き継げるIP電話サービス。これまでは,両社とも集合住宅向けのみで提供していたが,NTT東日本は2月1日から戸建て住宅向けに提供を開始。NTT西日本も5月から提供を開始する。

 NTT東日本の三浦惺社長は,「2005年度は2004年11月に発表したNTTグループの中期経営戦略に基づく初年度。光に注力する」と冒頭で宣言(写真)。固定電話からひかり電話への乗り換えを推進する見解を明らかにした。NTT東日本は2005年度のFTTH(fiber to the home)サービス「Bフレッツ」加入者の増加数を100万,ひかり電話も100万加入を見込んでいる。NTT西日本も同様に,Bフレッツを80万加入の増加,ひかり電話で60万加入を見込む。

 中期経営戦略では,NTTグループは2010年までに約6000万の固定電話ユーザーのうちの半数に当たる3000万を次世代ネットワークに移行させる計画を打ち出した。NTT西日本の森下社長は「2010年までに3000万加入の目標を考えると,2005年度の80万加入の目標は小さい」と述べた上で,「現行のFTTHは魅力が不十分。先行ユーザーはすでにFTTHに加入済みで,加入者数を増やすには新たな見せ方が必要」とした。具体的には,新規加入者にはひかり電話を,既存のADSL(asymmetric digital subscriber line)ユーザーには,高速性やセキュリティ面などをアピールしていくと説明した。

 2005年度の事業全体では,NTT東日本が650億円,NTT西日本が100億円の減収を見込む。競合事業者がドライ・カッパーを使った直収電話サービスを投入し,基本料収入が減少するというのが減収の大きな理由だ。経常利益では,NTT東日本が250億円,NTT西日本が150億円とひとまずの黒字を予想している。

(山根 小雪=日経コミュニケーション