ソフトイーサは2月24日,VPN構築ソフト「SoftEther VPN 2.0」のマイナー・バージョンアップ版「同 Beta 2」を公開した。Beta 1と比べて,使い勝手を大幅に向上させた。利用者にとってのメリットは大きく二つある。

 一つはSoftEtherの提供する仮想LAN機能をより多くの端末(パソコン)で利用しやすくなったこと。具体的にはOS自体にブリッジ機能を持たないWindows 98, Windows Me, Windows 2000などのOS搭載パソコンでも,SoftEtherの仮想LANにそのままつながるようになった。

 これはBeta 2に追加された「ローカル・ブリッジ機能」による。このローカル・ブリッジ機能は,SoftEtherの提供する仮想ハブと物理的なLANをカスケード接続する。これまでのSoftEtherでは,Windows XPなどのブリッジ接続機能を使用する必要があった。このため対応OSが限られていた。

 もう一つは,管理者が端末に対するIPアドレスの割り当てや外部のIPネットワークのアクセス権限を設定できるようになったこと。

 これは「SecureNAT」と呼ぶ機能で実現した。SecureNATは,SoftEtherの仮想LANに対する簡易DHCPサーバー機能やNATルーティング機能などの機能を提供する。もともとこうした機能は,2004年12月24日公開のソフト「SoftEther VPN User-mode Router 2.0」が提供していた。今回のBeta 2では,このソフトを統合する形となった。

 このほかにもクラスタリング機能の強化など各種改良が施されている。

 SoftEtherはインターネット上で仮想的なプライベート・ネットワークを構築するVPNソフト。筑波大学の学生である登大遊氏が開発し無償公開している。離れた場所にある複数のネットワークを,インターネットを介して一つのLANであるかのように接続できる。遠隔からのファイル共有やアプリケーション利用が可能になる。このとき企業内にファイアウォール,NAT,プロキシ・サーバなどのネットワーク機器が設置されていても,これらに変更を加える必要はない。

 現行のSoftEther VPN 2.0 Beta 1は,個人利用が中心だったSoftEther VPN 1.0をメジャー・バージョンして,企業の本格運用を狙ったもの。スループットの向上や認証機能の強化によって,大規模運用にも耐えられるようにした。