米国の地域系通信事業者最大手のベライゾン・コミュニケーションズは現地時間の2月14日,長距離系通信事業者のMCI(旧ワールドコム)を67億ドル(約7000億円)で買収すると発表した。米通信業界では,1月29日に米2位のSBCコミュニケーションズが米AT&Tの買収を発表したばかりで,業界再編が加速している。

 今回の買収が成立すると,ベライゾンはAT&T買収後のSBCコミュニケーションズの合計の売上高を抜き,再び最大手の通信事業者となる。ベライゾンは今後約1年かけて,米連邦通信委員会(FCC)の審査や株主の承認を得ていく計画。

 ベライゾンは今回の買収によって事業領域が拡張できることを強調。「MCIが得意としている企業向け市場に基盤が出来ると共に,世界でも最大規模のインターネット・バックボーン網を活用できる」(イワン・シーデンバーグCEO)。

 MCIはもともと,1997年にワールドコムに買収された米国の伝統的な通信事業者。ワールドコムは2002年7月に経営破綻し,日本の会社更生法にあたる連邦破産法第11条を申請。2003年4月に米連邦破産裁判所に経営再建計画を提出し,再び社名をワールドコムからMCIに変更した。その後,2004年前半に連邦破産法11条の適用下を脱却していた。

 米国では,SBCによるAT&T買収発表後,MCIの身売り話が浮上。ベライゾンのほか,地域通信事業者のクウェスト・コミュニケーションズが同社の買収に名乗りを上げていた。