米クアルコムは2月8日,携帯電話向けの放送型コンテンツ配信プラットフォーム「MediaFLO」について記者説明会を実施,日本でも「携帯電話事業者に採用の打診を始めた」(クアルコムジャパンの松本徹三社長)ことを明らかにした。同社は2006年から米国内において,このプラットフォームを使った放送サービスを開始すると表明済み。

 MediaFLOの核となるのは,「FLO」(Forward Link Only)と呼ぶ独自のコンテンツ配信技術。通常の携帯電話基地局とは別に放送専用無線基地局を設置,ニュースやスポーツなど動画や音声の番組を対応携帯電話機に向けて一斉配信する。米国では,クアルコムが取得した700MHz帯の6MHz幅の周波数帯域を使用する。クアルコムの子会社の「MediaFLO USA」が専用基地局を全米に設置し,ストリーミング型コンテンツや蓄積型コンテンツの配信サーバーも運用する。各携帯電話事業者はMediaFLO USAのプラットフォームを共同で利用して放送サービスを提供する。

 ただし,日本では携帯電話向けの地上デジタル放送,いわゆる1セグメント放送が2005年度内の商用化に向けて先行している。クアルコムでは,1セグメント放送と比べた技術的な優位点として「電波の利用効率が高く,チャンネル数を多くとれる」(クアルコムジャパンの松本社長)を挙げている。例えばQVGA(320×240ドット),毎秒30フレームのリアルタイム放送を配信した場合で,同時に15チャンネル分を確保できるという。動画番組を連続再生した際のバッテリー持続時間は約4時間を目指す。