総務省は2月8日,2004年8月6日に公開した第3世代(3G)移動通信システム「IMT-2000」で利用する800MHz帯の割り当て基本方針案を,正式な方針とすることを明らかにした。800MHz帯の再編については,原案通り新規事業者の参入は認めず,NTTドコモ,KDDI(au)の既存事業者の周波数移行を実施する。方針の決定により,総務省はソフトバンクの主張する800MHz帯での携帯電話参入を,却下したことになる。同案は公表後にソフトバンクBBが「策定の経緯が不透明」などとして訴訟を起こしていたことなどから,総務省内での手続きが大幅に遅れていた。

 かねてから800MHz帯での携帯電話参入を主張するソフトバンクBBの反発は必至。現時点では「今後の方針については未定」(広報室)だが,ソフトバンクBBの孫正義社長は2月3日,800MHz帯が割り当てられない場合について「その時の状況を見て判断したいが,不公平な結論について我々が泣き寝入りするわけにはいかない」と語っている。

 総務省は,原案通りの方針とした理由について「周波数再編を円滑かつ迅速に行うため」と説明した。周波数利用効率の向上や国際的な周波数利用との整合など,再編の目的を強調した上で,「2012年7月までに完了することを前提として,その具体的な方法,スケジュールは,移行にかかるコストを踏まえて既存事業者が判断すべき」との見解を示した。さらに「既存事業者にの意思に反して強制的に新規事業者用に周波数を捻出させることはできない」とした。

 ソフトバンクBBが提案した,独自の800MHz再編案についても反論。「技術的に問題点が多く,仮に実行した場合,既存の携帯電話ユーザーへのサービスに著しい支障が生じるとともに,2012年7月までに再編を完了することが困難になる恐れがある」と,具体的な図などを交えて問題点を指摘した。

 総務省は今回の方針案に対するパブリック・コメントが3万2851件に上ったことも明らかにした。その大半が,ソフトバンクBBや日本テレコムが大手新聞紙や会員へのメールによる呼びかけを実施した後に提出されたものであり,「総務省案に反対し,ソフトバンクBBの参入を認めるべきとする意見が多数を占めた」ことも明らかにした。