JA長野県グループの通信事業者である長野県協同電算(JANIS)がネットワークの全面刷新に乗り出す。2月から開始し,8月に完了する。JANISは長野県のJA拠点のほか,公共団体,企業や個人のユーザーに回線やIP電話のサービスを提供している。

 新ネットワークの目的は大きく二つ。耐障害性の向上と企業向け新サービスへの対応である。JANISはNTT東日本から延べ6000kmにも及ぶダーク・ファイバを借り,長野市を中心としたスター型のネットワークを構築。県内約150のNTT東日本局舎,約90の有線放送電話の局舎を結んでいる。

 今回,耐障害性の向上策として,ネットワーク上の基幹局を接続。長野県の南部,中部,北部の大きく三つのリングを作り上げる。「ネットワークをリング構成とすることで,大規模災害や網障害に強くする」(JANIS ネットワーク部の佐藤千明部長)との考え。伝送帯域も従来の1Gビット/秒から2Gビット/秒まで拡大する。

 さらに新しいサービスとして,広域イーサネットを全県に展開する。具体的には,新ネットワークにレイヤー2スイッチを新たに導入することで実現。イーサネットのフレームにヘッダー情報を追加するEoE(Ethernet over Ethernet)対応の機器を導入する。

 JANISは現在,MPLS(multi protocol label switching)技術を適用したIP-VPN(仮想私設網)サービスをJA長野県の拠点や他の企業ユーザーに提供している。これに広域イーサネットを加えることで,「ユーザーの選択肢を増やす。当初は県下の主要20局。その後,ユーザーの要望に応じて提供局を増やしていく」(佐藤部長)。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション