総務省は1月25日,「携帯電話用周波数の利用拡大に関する検討会」の第7回会合を開催(写真)。会合では事務局である総務省が,周波数再編の完了する2012年以前にソフトバンクBBが800MHz帯が参入する余地のないことを事実上表明。ソフトバンクBBが望む早期の800MHz帯参入は厳しさを増してきた。

 800MHzの再編について総務省は,「2012年7月までに再編を確実に実施すること」を強調。既存の携帯電話利用者にサービスを提供しながら周波数の再編を進めるには,800MHz帯で新たな周波数が利用できるのは10MHz幅のみであることを説明した。さらに「この10MHz幅についても,既存の無線通信システムとの干渉を見ながら,特定地域に限定してのみ利用可能」と,ソフトバンクBBが入る余地がないことを示唆した。ただし「(ソフトバンクBBとの)訴訟にもなっているので,この検討会で結論を出す必要はない。今後総務省で方向性を示す」と,最終的な結論については明言を避けた。

 これに対し,傍聴していたソフトバンクBBの孫正義社長は会合後に記者団のインタビューに応じ,「結局,検討会を開いても,最終決定するのは総務省。どういう観点で免許を策定するのかはいまだに不透明なまま」と憤まんやる方ない表情。「我々が提出した再編案には何の返答もない。意見を聞くだけ聞いて,結局は総務省の案で決めてしまうのでは,何のための議論だったのか,ということになりかねない」と不満をぶちまけた。「考えたくもないが,もしこのまま800MHz帯が割り当てられないということになれば,何らかのアクションを取ることも考えたい」と,新たな“実力行使”に出ることも匂わせた。

 一方,新規に割り当て可能な1.7GHz帯について検討会では,「新規参入を目指す事業者に割り当てるのが良いのではないか」という意見が出された。検討会のメンバーである村上輝康・野村総合研究所理事長は,「割り当ては2事業者が望ましい」とコメント。現在割り当て可能な70MHz幅についても3パターンの割り当て方法を示した。関口和一・日本経済新聞社編集委員兼論説委員も,「1.7GHz帯だけでは既存の携帯電話事業者と公正競争を保てないのであれば,ローミングの義務化や今後割り当て可能となる700M/900MHz帯を優先的に割り当ててもいいのではないか」との意見を出した。

 昨年10月から始まった会合は,2月3日に開催される第8回で最終回を迎える。次回は,携帯電話の基本的な考え方,割り当てに関する考え方,既存の携帯電話周波数の移行など11の論点について,これまでの議論で出された意見をまとめる。総務省は,「今回の検討会で出された意見を参考に,最終的な免許方針案を策定したい。800MHzなど関係者間で相反する意見があることも理解しているが,行政の停滞は許されない。難しい作業だが結論を出したい」(有冨寛一郎・総合通信基盤局長)としている。