総務省は1月20日,「次世代IPインフラ研究会 セキュリティWG」の第2回会合を開催した。第2回めの議題は,プロバイダ網などのセキュリティ水準の向上について。

 今回はまず,ソフトバンクBBの笹木一義技術本部技術企画部担当部長がインターネットを構成するプロバイダ網の協調運用についての課題を発表。実際の運用担当者として「現在は各プロバイダがピアリングをしている部分的なメッシュ構造だが,情報集約点となる“ハブ”となる組織があったほうが,障害対応だけでなく,テロなどの緊急時でも協調しやすいのではないか」と提言。インターネットが重要な社会インフラと変わったため,セキュリティの確保にはこれまでと異なる,やや“中央集権的”なプロバイダ連携の必要性を説いた。

 また,プロバイダのネットワークを運用しているエンジニア人材の質にも危機感を表明。「エンジニアが狭い領域の技術に特化しすぎ,セキュリティの確保に重要な,全体を見渡せるバランス感覚を持てなくなっている。インターネットの運用は当初,ベストエフォートで趣味の延長のようなところから始まったが,今は重要な社会インフラとなり,サラリーマンが仕事として運用するもの」(笹木担当部長)。

 このほか,KDDIの中尾康二技術開発本部情報セキュリティ部長がプレゼンテーション。ITU-Tで標準化している,通信事業者のための情報セキュリティマネジメント(ISMS-T)の動向について紹介した。

 セキュリティWGは2005年夏までをメドに開催される。今後,情報家電のインターネット接続の際のセキュリティ対策,フィッシング対策などを議題として取り上げる予定。

(宗像 誠之=日経コミュニケーション