1月15日,日本経済新聞などで報じられた「ソフトバンクがKDDI傘下の携帯電話事業者ツーカー・グループ3社の買収を2000億円で打診」との報道に対し,ソフトバンク広報室は「そのような事実はない」と完全否定した。一方,売却する側のKDDI広報部は「ノーコメント」として否定も肯定もしない。
ある通信業界関係者は「KDDIが周波数の権利を保有するツーカー・グループを売却する気が本当にあるのかどうか疑問。ソフトバンクにしてもここでツーカー・グループを買収したら,周波数を新たに獲得し参入するという目標では負けとなる」と首をかしげる。「そもそも東名阪のみの携帯電話事業者を獲得してどうするのか。福岡ソフトバンクホークスの本拠地である九州もカバーできない。それよりも全国に展開できるボーダフォンの日本事業の方が魅力的」(同)。
もっとも,ソフトバンクはADSL(asymmetric digital subscriber line)事業に参入する際に東京めたりっく通信,大阪めたりっく通信,名古屋めたりっく通信を傘下に収め,スタッフやノウハウ,ユーザー基盤を獲得している。こうした企業買収が現在のADSL事業の原動力となったのも事実である。
KDDIは2004年11月に,ツーカーセルラー東京,ツーカーセルラー東海,ツーカーホン関西の3社を完全子会社化することを発表。KDDI株式との交換で,今年3月までに完了する見通し。現状はKDDIがツーカー3社の92~95%の株式を保有している模様。