米アルバ・ワイヤレス・ネットワークスは複数の無線LANアクセス・ポイント(AP)を制御する「無線LANスイッチ」の大手メーカー。最近では,無線通信で内線電話網を実現する“モバイル・セントレックス”に欠かせない機器として注目を集めている。同社創業者の一人で,マーケティング担当副社長を務めるキルティ・メルコーテ氏に,製品の特徴などについて話を聞いた。(聞き手は武部 健一=日経コミュニケーション

--アルバの無線LANスイッチの特徴を教えて欲しい。

 何といってもセキュリティだ。端末~APの区間だけではなく,端末~無線LANスイッチの区間を暗号化できる。これは他の製品にはない機能だ。
 セキュリティ・ポリシーを端末ごとに設定できる点も特徴だ。この機能で「なりすまし」を防げる。例えば,来社した外部の人にパソコンから無線LANを使わせる場合,イントラネットにはアクセスさせず,インターネットにしか接続できないような設定を施せる。端末が無線IP電話機であれば,SIP(session initiation protocol)サーバーと他のIP電話機にしか接続できないように設定することも可能だ。

--アルバの製品が備えるQoS(優先制御)機能について教えて欲しい。

 無線LAN区間はIEEE 802.11e規格に準拠したQoS技術を採用している。無線IP電話であれば,QoSを適用し音質をちゃんと保った状態でAP1台で10台程度の端末を収容可能だ。
 さらに有線LAN区間では,レイヤー7を認識してレイヤー3のレベルで優先制御できる。例えばレイヤー7のプロトコルであるSIPの場合,機器がSIPパケットであることを識別して,IPパケットのToS(type of service)値に高い優先順位を設定する。

--無線IP電話では,802.11eのQoSは機能が不十分だとの指摘がある。米メルー・ネットワークスの無線LANスイッチのように端末~AP間の上り/下り両方のQoSが必要だという意見があるが。

 QoSはIEEE 802.11eの機能で十分だと考えている。それに,メルーの製品は独自技術を使ったQoSだ。標準技術と独自技術でどちらが優位になるかは歴史を見れば明らかだろう。