総務省は12月22日,電話番号の制度や運用について議論する「IP時代における電気通信番号の在り方に関する研究会」の第1回会合を開催した。国内や海外で取り組みが始まった電話網のIP化をふまえた動きである。

 研究会には通信事業者や学識経験者,機器メーカーが中心メンバーとして参加。座長に東京大学名誉教授の齊藤忠夫氏が就任した。来年の4月の時点で論点を整理し,6月をメドに結論を出す予定。細目はワーキンググループを設置して議論する。

 最重点項目とされているのが,東京23区内なら「03」で始まるいわゆる「0AB~J」番号の配布や運用方法についてである。課題は大きく二つある。

 第1は「0AB~J」番号のひっ迫への対策である。すでに現時点で65エリアで新たな番号が取得できない状態になっている。これに加えて,KDDIや日本テレコムが,ユーザーが同じ電話番号を使い続けることができるきる新型の固定電話サービスに乗り出している。この場合,「番号ポータビリティ」という制度を利用するが,通常の倍の番号を消費してしまう。

 第2が新たな電話サービスにおける「0AB~J」番号の運用方法。「0AB~J」番号は電話を発着信するユーザーの所在地を限定している。これによって,料金やユーザーの場所が判別できた。一方で,IP電話のように自由な場所で端末を利用できたり,料金体系が距離によらないような電話サービスが増え始めており前提が変わり始めた。現状は違う電話番号体系を割り当てている,携帯電話と固定電話のサービスを融合させる動きも出てきている。

 こうした背景があり,多くの通信事業者やユーザーから電話番号制度をIP電話など新サービスに見合ったものに見直すことが求められていた。なお,今回の研究会では,KDDI,日本テレコム,NTT持ち株会社の3社が課題や問題点についてプレゼンテーションを繰り広げた。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション