フュージョン・コミュニケーションズは12月20日,メッシュ型の無線LANシステムを使ったフィールド実験を来年1月に始めると発表した。メッシュ型無線LANは,相互に通信する複数の無線LAN基地局を設置していくことで,通信サービスの提供エリアを拡大していく手法だ。光ファイバを敷設して無線LAN基地局をつなぐ手法に比べ,構築の手間やコストが安く済むなどの効果が期待できる。

 フュージョンのねらいは,屋外でのサービス提供の可能性を探ること。このフィールド試験では,広い敷地がある企業や,事業所の近隣などで無線LANを使うブロードバンド接続サービスやIP電話サービスを提供できるかを検証する。

 実験場所には広島県大崎上島町を選んだ。瀬戸内海の島である同町は,電波干渉が少なく,全島に光ファイバを敷設済みなど実験条件がよい上,FTTHサービスを提供するエネルギア・コミュニケーションズの協力も得られたことが決め手となった。

 町内に複数の基地局を設置してメッシュ型無線LANシステムを構築,エネルギアコムのネットワークに冗長構成で接続する。そこからインターネットおよびフュージョンの試験ネットワークにつながる実験用ネットワークを作る。無線の通信規格はIEEE 802.11bを使用。基地局間の飛距離は平均で100~200メートルを想定している。

 実験は(1)メッシュ型無線LANでブロードバンドのサービスを提供できるかどうかの検証,(2)無線LANを使うIP電話システムといった通信サービスの検証--の2段階に分けて実施する。前者は2005年1月から9月,後者は同10月から2006年3月までの予定だ。

(山崎 洋一=日経コミュニケーション