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総務省は12月14日,「携帯電話用周波数の利用拡大に関する検討会」の第5回会合を開催した。同会合では携帯電話事業の新規参入や周波数の割り当て方針について,関係事業者が議論を繰り広げている。今回各社が再び一同に会して互いの主張をぶつけ合った(写真)。傍聴席には100人近くが集まり,3時間以上にわたる熱い議論を見守った。
参加したのは,第4回会合と同じメンバー。NTTドコモ,KDDI,ボーダフォンの携帯電話事業者3社と新規参入を目指すソフトバンクBB,イー・アクセス,平成電電,アイピーモバイルの計7社のトップである。
検討会での最大の関心事は,ソフトバンクBBの800MHz帯を巡る議論。800MHz帯での参入を希望するソフトバンクBBと,「すぐには利用できない」とするNTTドコモ/KDDIの主張は完全に食い違った。NTTドコモ/KDDI側は「800MHz帯の再編中に新規参入事業者が入ることは技術的に困難」と主張。一方のソフトバンクBB側は「周波数帯の再編は800MHz帯だけでなく1.7GHz帯も交えて実施するべき」とした。
今回の検討会でソフトバンクBBの孫正義社長は,総務省案とは異なる独自の周波数再編案を披露した。具体的には,例えば2007年5月までにNTTドコモの800MHz帯の割り当て幅を58MHzから46MHzに減らす代わりに,2GHz帯を30MHzから40MHzに増やし,1.7GHz帯に新たに10MHzを割り当てるなどというもの。KDDIにも同様に800MHz帯のほかに1.7GHz帯を割り当てる。こうして800MHz帯に新規事業者の参入を可能にするという案である。
孫社長は「800MHz帯の再編はパズルと言うが,こういう(1.7GHz帯を使う)解き方もある。公正競争の確保(イコール・フッティング)を考慮するなら,この案をたたき台に議論したい」と強硬に主張。「既存の携帯電話事業者と緊張感のある競争をしたい。そのためには1.7GHz帯だけでは不十分。サービス開始から800MHz帯が必要」と最後まで800MHz帯の割り当てにこだわった。
これに対して携帯2社は,再編中の800MHz帯に新規事業者用の周波数を割り当ててしまうと,再編そのものが不可能になると反論した。KDDIの小野寺正社長は「仮に新規事業者に800MHz帯を割り当てると,我々は現在使用中の帯域のサービスを一部中止し,移行先周波数への対応設備を作らなければならない。しかも瞬時にやらないとユーザーに迷惑をかける。そうなると費用は1兆円を超える。どう考えても無理」(小野寺社長)と憤慨した。
さらに小野寺社長は800MHz帯再編計画の意義を改めて説明。「本来ならこのままの状態でサービスを提供したいが,日本は歴史的な経緯から上りと下りの周波数帯が逆転している。このため国際ローミング・サービスを可能にする端末コストが他国に比べて高いという状況が続いてきた。今回の再編はこうした課題を解決し,より携帯電話サービスの利便性を高めるためのもの。そのためにあえて約5000億円をかけて再編に協力している」と強調した。
NTTドコモの中村維夫社長も小野寺社長に同意。「そもそも800MHz帯の再編は,800MHz帯のシステムを整理して,2012年までに新規事業者用に新たな周波数を確保する目的もある。再編途中に入りたいというのは,これを遅らせることに等しい」(中村社長)と援護射撃した。
結局,今回の会合でも双方譲らず,議論は平行線をたどったままだった。依然として解決の糸口は見えてこない。