総務省は12月9日,「次世代IPインフラ研究会」の第5回会合を開催した(写真)。今回の会合では,6月に出した第1次報告書を踏まえ,より具体的にIPインフラ整備の議論を進めていくためのワーキング・グループ(WG)設置を決めた。

 具体的には,IPネットワークWGとセキュリティWGの二つ。IPネットワークWGでは,IPネットワークに必要な(1)品質,(2)セキュリティ,(3)相互接続──などの機能について実現方法やあり方を検討する。一方のセキュリティWGでは,IPネットワークで必要なセキュリティについて,実運用など具体的な対策を議論する。

 今後,各WGは個別に会合を開き,議論を進めていく。各WGの結果は2005年5月をめどに第2次報告書にまとめる計画である。

 会合の冒頭には麻生太郎総務大臣が登場。「おかげで日本は世界一高速なブロードバンド環境を実現した。だが,世界一で満足するだけではだめ。常にトップであり続ける必要がある」とあいさつした。そして「現在の状況は(固定電話網から)IPに移行する歴史的な転換点。さらなる発展のためには,国が主導してインフラを整備しなければならない」との考えを示した。

 さらに麻生大臣はセキュリティ対策についてリクエスト。「日本は昔から情報セキュリティ対する価値観が高くない。だが,他国を見れば情報セキュリティを扱う者の地位は高く,人材も集まっている。我が国でもそうなれるよう,ぜひ議論を深めて欲しい」と期待を寄せた。

 2004年2月に始まった同研究会では,日本のインターネット・トラフィック急増に対応できるIPインフラの整備や,整備に必要な政策支援方法について議論する。6月に国内の主要プロバイダのインターネット・トラフィック総量などをまとめた第1次報告書を作成し,いったん会合を休止していた。