東京電力子会社のパワードコムは11月11日,2004年度中間連結決算を発表した。売上高は前年同期比9.5%増の854億3000万円,経常損益は前の期に比べ8.6%赤字幅が拡大し80億7000万円の損失となった。

 当期に減損処理を進めた結果,中間純損益の赤字は891億3000万円まで膨らんだ。しかし,この減損処理やコスト削減策などにより「2004年度下期は黒字転換する」とパワードコムの中根滋社長は断言(写真)。2004年度下期は,売上高954億8000万円,経常利益は12億5000万円を見込んでいる。有利子負債の削減を進め将来は,通信事業者では珍しい「無借金経営を目指す」(中根社長)。

 中間決算の発表に併せて,下期の戦略にも触れた。今後,IP電話とコンシューマ向けの事業で新戦略を打ち出す計画だという。FTTH(fiber to the home)サービスで,既存の固定電話の番号(0AB~J番号)が使えるIP電話は「近日中にも開始する」(中根社長)。また,今後3カ月間で営業担当者100人を採用するなど,法人営業の強化も図る。

 中根社長は,NTT東西地域会社の設備開放義務の規制に関してもコメント。「民営化以前に敷設したメタル線はともかく,民営化後に敷設した光ファイバは開放義務を見直す方向の議論があってもいい」と,NTTグループの光ファイバの開放義務見直し要求に一定の理解を示した。

(宗像 誠之=日経コミュニケーション