UHF帯を利用する無線IC(RFID:radio frequency identification)タグの周波数割り当てと技術仕様を決定する「UHF帯電子タグシステム作業班」の第4回会合が10月7日に開催された。

 割り当てを検討している950M~956MHz帯の両側の周波数帯は,NTTドコモのPDC(personal digital cellular)方式の携帯電話システムが利用中。このため無線ICタグ・システムのリーダー/ライターが出す電波は,NTTドコモの携帯電話システムに電波干渉しないことが求められる。これまでの会合では,割り当てられた周波数帯域外に漏れ出す電波「スプリアス」を巡って,NTTドコモとUHF帯無線ICタグ陣営の意見がぶつかっていた。

 今回はUHF帯無線ICタグと2011年以降に900MHz帯を利用する第3世代移動通信システム「IMT-2000」との電波干渉が議論された。

 PDC方式の携帯電話との干渉は,タグのリーダー/ライターと基地局の問題だが,IMT-2000の場合は移動機との干渉も問題となる。IMT-2000の方がPDC方式よりも要求条件が厳しいため,作業班開始当初から,NTTドコモが提案していたW-CDMAとUHF帯無線ICタグ推進派の要求条件には隔たりがあった。

 今回は新たに,KDDIがCDMA2000とUHF帯無線ICタグの干渉計算の結果を提示し,W-CDMAに比べてCDMA2000の方が干渉度合いが弱いことが判明した。UHF帯無線ICタグによっては朗報だ。UHF帯無線ICタグと隣接する周波数帯にCDMA2000が割り当てられれば,条件が緩和される可能性もある。
 
 現時点では,最終的な干渉計算に何のモデル式を採用するのか,モデル式に入れるパラメータをどう扱うのかといった点で意見にかい離がある。それでもAUTO-IDラボ・ジャパンの三次仁・副所長は作業班終了後に,「議論は収束の方向に向かっている」との印象を語った。

 UHF帯無線ICタグの技術条件は,12月15日の情報通信審議会で答申を出す予定になっている。次回会合は10月15日の予定。

(山根 小雪=日経コミュニケーション