迷惑メール対策を推進する業界団体MAAWG(Messaging Anti-Abuse working Group)が本誌と会見(写真)。迷惑メール対策を国際的に進めることの重要性を訴えた。同団体のアウトリーチ・アンド・コミュニケーション議長をつとめるオマール・テレーズ氏(米オープンウェーブ・システムズのシニア・ディレクター マーケット開発担当)は「迷惑メールは世界的な問題。グローバルな対策が必要」とアピール。また,迷惑メールの有効な対抗策となる送信者認証技術についても言及。現在,送信者認証方式には複数あるが「ここ1~2カ月でメンバーが使う方式はこれだと表明することになるだろう」(同)との見通しを示した。

 日本ではMAAWGに参加するオープンウェーブの日本法人が事務局をつとめ,プロバイダのインターネットイニシアティブ(IIJ)がリードする形で,非公式だがMAAWG-J(仮称)にあたる会合が数回開催されている。「技術的な解決のための実験をする,行政も巻き込むなどして,日本の問題の情報交換をしている」(IIJ技術本部システム開発部の櫻庭秀次主任)。

 そのIIJは28日午後,迷惑メール対策の現状とIIJの取り組みに関する説明会を開催した。「第三者に乗っ取られたパソコン(ゾンビPC)からの攻撃が今夏あたりから激化」,「迷惑メール送信者がアドレスを収集して送信リストを作る活動も活発に」,「ただしエンドユーザーのレベルでは迷惑メールの到達数の差が大」などの現状を解説。併せてMAAWG-Jでの取り組みを紹介した。

 またIIJは,メールのアウトソーシング・サービスに迷惑メール対策機能を追加すると発表した。米MXロジックと提携し,同社の迷惑メール対策製品を採用。メールの“迷惑メールとしての度合い”を判断して,メール・ヘッダーに記述する。料金は,自前のメール・サーバーを持たずに済む「IIJ ポストオフィスサービス」の場合,迷惑メールフィルタとウイルス対策のオプションを付けて,初期費用5000円,月額基本料金2万円,アカウント単価が700円(11ユーザー以上50ユーザーまでの場合,10ユーザー分は無料)。

(山崎 洋一=日経コミュニケーション