総務省は9月22日,IP電話から110番や119番などの緊急通報を実現する技術検討部会を開催した。緊急通報機能等高度化委員会のIP電話作業班の第6回会合で,第1段階の報告書について議論した。

 第1段階では,現行のネットワーク構成をベースとし早期に実現する方法についてまとめた。対象は固定電話として使うIP電話。

 今回まとめた技術要件は大きく8項目。具体的には,(1)緊急通報機関に接続するネットワーク,(2)通報者を管轄する緊急通報機関の割り出し方法,(3)通報者の回線の保留方法,(4)「186」や「184」の付加による番号の通知/非通知,(5)通報者の電話番号の通知プロトコルやインタフェース,(6)通報者の位置情報の送信フォーマットや手順,(7)緊急通報の呼を優先させる技術的要件,(8)なりすましによる緊急通報の防止--である。

 技術要件は,東京23区なら「03」で始まる0AB~J番号とIP専用の050番号のそれぞれについて策定した。

 0AB~J番号と050番号の大きな違いは(6)の通報者の位置情報の送信フォーマットや手順。IP電話サービスには,アクセス回線とインターネット接続,そしてIP電話基盤という三つの要素が関係する。0AB~Jのサービスはこれを1事業者が提供するが,050のサービスでは複数事業者に分かれていることが多いからである。ユーザー情報をどの事業者が渡すべきかについて,いくつかのモデルを示した。また,そもそもユーザーが事業者に住所を正確に登録しているのかどうか,どうすれば正確に登録してもらえるのか,といった意見も相次いだ。

 IP電話作業班は,10月から第2段階の議論を開始。来年1月中旬までに報告書をまとめる。第2段階では,移動しながら利用する携帯IP電話や,固定電話でも端末の場所を移動させて利用するケースについて取り上げる。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション