KDDIは9月15日,2007年度末までにKDDIが持つ固定電話網をIP化すると発表した。2005年度に着手し,2008年3月までの完了を目指す。「既に固定電話網のIP化を発表した英BTよりも早く完了する予定で,世界に先駆けたものになる」(KDDIの小野寺正社長,写真)。

 IP化に伴う設備投資は,400億~600億円程度。KDDIの固定電話網の設備は償却が終わっているものも多く,「IP化によって電話交換機を更改するのに比べて半分程度の設備投資で済む」(小野寺社長)という。また,ユーザーの直収を進めることで,NTT東西地域会社への接続料の支払いを低減する。

 KDDIは,2005年2月に固定電話サービス「メタルプラス」を開始することも正式に発表した。東西NTTからメタル回線を借り,すべて自前の電話網を構築してユーザーに提供する。東西NTTよりも基本料を安く設定するほか,企業向けメニューでは通話料を全国一律にするなどしてNTT電話の代替を狙う。

 メタルプラスはバックボーンにIP網を利用する。12月に日本テレコム/ソフトバンクBBが始める固定電話サービス「おとくライン」は,中継網に固定電話網を使う。小野寺社長は,「コスト構造が全く異なる新サービス」と主張した。

 なお,おとくラインが予定よりも引き下げるとの報道に対し,小野寺社長は「メタルプラスの料金は,ソフトバンクBBの発表前に決めていたもの。単純な値下げ競争をする気は毛頭ない」とした。

(山根 小雪=日経コミュニケーション