第3世代移動通信システム「IMT-2000」のうち,国内で未採用の通信方式の技術を検討する「IMT-2000技術調査作業班」が9月9日,総務大臣の諮問機関である「携帯電話等周波数有効利用方策委員会」に報告書を提出した。同報告書には,第3世代携帯電話(3G)サービス参入を目指すソフトバンクやイー・アクセスが提案する通信方式に盛り込まれている。

 日本では3GサービスはNTTドコモとボーダフォンが採用する「W-CDMA」(wideband-CDMA)と,KDDIグループが採用する「CDMA2000」の二つの通信方式が実用化されている。ただし,IMT-2000にはこれら以外にも,「TD-CDMA」(time division-code division multiple access)や中国発の3G通信方式「TD-SCDMA」(TD-synchronous CDMA)など3方式ある。

 報告書には,ソフトバンクやNTTコミュニケーションズ,アイピー・モバイルが提案したTD-CDMAのほか,TD-SCDMAやIMT-2000標準ではないがイー・アクセスが提案した「TD-SCDMA(MC)」(TD-SCDMA multi career),京セラが提案した「iBurst」方式,既に実用化されているPHSの高度化方式が盛り込まれた。

 ただし,報告書の各方式とW-CDMAやCDMA2000との干渉や,各方式同士の干渉についての調査は盛り込まれていない。そこで,携帯電話等周波数有効利用方策委員会は新たに「IMT-2000 TDD方式技術的条件作業班」を設置。各方式の干渉についての調査や,必要な周波数帯について調査する。

 IMT-2000 TDD方式技術的条件作業班は9月中旬にも第1回の会合を開き,2005年2月ころをめどに報告書をまとめる予定。報告書に盛り込まれた通信方式のうち,事実上どの方式を実用化するのかについても今回の作業班が決める予定である。

 その後,全部で15MHzの周波数帯をどの事業者に割り当てるかを比較審査したうえで,事業者に周波数が割り当てられる。所定の手続きを経て,事業者は晴れてサービスを開始できる。