三菱マテリアルは8月9日,VPN(仮想閉域網)ソフト「SoftEther」の商用版である「SoftEther CA」を8月30日より提供すると発表した。最大の特徴は現在のSoftEtherと比べて,電子証明書システムの導入などによりセキュリティを強化していること。

 SoftEtherは筑波大学生の登大遊氏が開発した無償のVPNソフト。2004年3月にSoftEtherの商用版開発に向けて三菱マテリアルと提携しており,その第一弾となる商用版のSoftEtherが今回のSoftEther CAである。

 SoftEtherは便利で手軽に使えるVPNソフトだが,ユーザー/パスワードによる認証方式しかサポートしていなかったため,セキュリティ面で既存のVPN製品に見劣りしていた。SoftEther CAでは電子証明書システムを導入。米ベリサインなどの公的な認証局(CA)が発行した電子証明書や,企業が自社で立てたプライベート認証局が発行した電子証明書などを利用できるようにした。

 このほかSoftEther CAでは,クライアント・ソフトの起動時にパスワード入力を必ず要求するような設定が可能になっている。無償版のSoftEtherは設定時にユーザーやパスワードを一度保存すれば,その接続アイコンをクリックするだけでパスワードを入力することなく認証が行われる。したがって,パスワードを保存したノート・パソコンが盗まれた場合,アクセスされる危険が高くなる。

製品は3種類のラインアップ

 無償版のSoftEtherではWindows版,Linux版とOSによって分類していたが,ラインナップは一つであった。SoftEther CAではクライアントで登録できるサーバーの接続数や規模によって,「Closed製品」,「Open製品」「ASP製品」の三つのラインナップに分かれている。

 Closed製品はその企業だけでの利用を想定した製品で,他の企業のClosed製品からは接続できずセキュリティは高い。一方,Open製品は他の企業のOpen製品からも接続可能。ASP製品は各種ソリューションへの組み込みを目的として開発されたもの。今回発売されるのは,Closed製品とASP製品。Open製品は提供体制が整い次第,販売するという。

 価格はオープン。Closed製品の一例として,1サーバー・ライセンス,100のクライアント同時アクセス,100クライアント・ライセンスを想定した場合におよそ170万円としている。初年度で6億円の販売を見込む。