UHF(ultra high frequency)帯を利用する無線IC(RFID:radio frequency identification)タグの周波数割り当てと技術仕様を決定する具体的な議論が7月20日,総務省「小電力無線システム委員会」で始まった。具体的な議論は,小電力無線システム委員会配下の「UHF帯電子タグシステム作業班」で詰めることが決定した。
2004年12月までに,総務省情報通信技術分科会で技術的条件を定めた答申を出す予定。その後,電波監理審議会を経て,2005年3月にも省令を改正したいというのが総務省の意向である。
これまで日本では,13.56MHz帯や2.4GHz帯を使う無線ICタグの利用が進められてきた。これらの帯域に比べて,UHF帯の無線ICタグは通信距離が7~10mと長く,物流システムの本命とされている。しかも世界に目を転じると,米ウォルマート・ストアーズが2005年1月にもサプライヤ100社と実運用を開始するなど,UHF帯を使う無線ICタグは大量普及が見込まれている。
今後,議論の焦点になりそうなのは,隣接する周波数帯を利用する既存システムとの電波干渉問題。UHF帯無線ICタグへの割り当てを検討している950~956MHz帯の両側の周波数帯はNTTドコモの携帯電話システムが利用中。UHF帯無線ICタグと携帯電話に干渉の影響が出ない技術仕様の“落としどころ”を巡って,激しい議論が繰り広げられそうだ。
今回の小電力無線システム委員会では,国際標準規格ISOでの無線ICタグの規格化状況や,世界各国のUHF帯無線ICタグの技術仕様についての説明がされた。小電力システム委員会の次回会合は9月中旬の予定。それまでに2回のUHF帯電子タグシステム作業班が開催されることになる。