映像配信システムを開発・販売するベンチャー企業,デジタル・ネットワーク・アプライアンス(DNA)は7月13日,テレビと専用セットトップ・ボックス(STB)を使ったVOD(ビデオ・オン・デマンド)サービス「でじゃ」を開始した。ADSL(asymmetric digital subscriber line)やFTTH(fiber to the home)などのブロードバンド回線を使い,映画や音楽などのコンテンツをユーザーに「レンタル」する。通信事業者やインターネット接続事業者の種類は問わないので,ブロードバンド・ユーザーであれば,既存の契約回線をそのまま使える点が特徴だ。

 サービスの利用にはSTB「i-DVP」が必要(写真)。40Gバイトのハード・ディスクを内蔵し,数本分のコンテンツを保存できる。コンテンツはダウンロードしながらでも視聴できる。ダウンロードしたコンテンツは,レンタル期間が終わるとハードディスクから自動的に消去される。コンテンツは,DVDやパソコンなどにコピーできない仕組みになっている。DNAの齊藤茂樹CEOは,「でじゃのシステムをテレビに組み込んでしまうことも考えている」と将来構想を明らかにした。

 でじゃの基本料金は月額525円で,加入料金が8400円。i-DVPは3年契約のレンタルとなり月額2625円かかる。コンテンツ提供価格は,1タイトル50円~300円。ダウンロードしてから3日間がレンタル期間となり,その間は何度でも視聴できる。無料のコンテンツも用意する。8月31日まではキャンペーン期間とし,加入料金も基本料金もかからず,すべてのコンテンツを無料で提供する。

 ただし,キャンペーン期間中に提供するコンテンツは200~300程度にとどまる。「課金サービスが始まる9月1日からコンテンツを2000~3000タイトルに増やし,2004年末までに5000タイトルはそろえたい」(DNAの齊藤茂樹CEO)。

 当初はWebサイトや電話で申し込みを受け付ける。今後は,「通信事業者と組み,ブロードバンド回線とのパッケージを特別価格で提供するなどの販売も近々始める」(齊藤CEO)という。

(宗像 誠之=日経コミュニケーション