NECは7月12日,屋内などに張り巡らされている電力線を使った通信技術「電力線搬送波通信」(PLC)の実証実験を開始すると発表した。実験に使用するモデムは東洋通信機製で,業界で最大の200Mビット/秒を誇る。大阪府茨木市にある関西電力内の施設を使って実証実験を行う。

 PLCは電気のコンセントのある場所なら,情報プラグを差し込むだけでどこででも通信をできるようにする通信技術で,ネット家電の普及のカギを握ると期待されている。NECが実証実験を行う高速PLCは2MHz~30MHzの高周波数帯を利用する。ただし,この周波数帯はアマチュア無線など他の無線への干渉が懸念されており,漏えい電界の低減技術開発を目的とした実験だけが2005年3月まで許可されている。

 実証実験は,既に東京電力や関西電力といった電力各社や松下電器産業などの家電メーカーが始めている。各社の狙いは,PLC利用における2MHz~30MHzの高周波数帯の解禁。他の無線への影響がないことを証明する実験結果が出そろえば,高速周波数帯の解禁が一気に進む可能性もある。