インターネット接続事業者(プロバイダ)のぷららネットワークスは7月8日,ブロードバンド向けの映像サービスを開始すると発表した。NTT東日本のADSL(asymmetric digital subscriber line)サービス「フレッツ・ADSL」とFTTH(fiber to the home)サービス「Bフレッツ」のユーザー向け。ソフトバンク・グループの「BBTV」とKDDIの「光プラスTV」に続いて,フレッツからも映像サービスを使えるようになる。

 提供するのは,IP放送サービスの「4th MEDIAテレビサービス」とビデオ・オン・デマンド(VOD)サービスの「4th MEDIAビデオサービス」。4th MEDIAとは,ぷららが運営する映像配信システムのこと。どちらも,ブロードバンド回線にセットトップ・ボックス(STB)をつないで,テレビで視聴するサービスだ(写真)。

 IP放送サービスは,6月30日に放送事業者としての登録が完了したオンラインティーヴィが提供する。同社は,番組提供会社のジュピター・プログラミングや東北新社,セコム,日本経済新聞社が出資する企業。IP放送は,基本料で見られるベーシック・サービスが30チャンネル,オプションで10チャンネルがある。一方,VODはぷららが提供する。ハリウッドの映画など1000タイトル以上をそろえた。

 利用料金は,IP放送とVODを利用できる「レギュラープラン」が月2415円。VODだけの「ライトプラン」が月577円。このほか,オプション・チャンネルに月735~3150円,VODの1タイトルごとに315~420円の料金がかかる。

 ぷららのサービスの特徴は,複数社で役割を分担する水平分業型のビジネスモデルを採ったこと。エンドユーザーにサービスを提供するのは,提携するプロバイダ。「So-net」,「BIGLOBE」,「@nifty」,「hi-ho」,「ぷらら」のユーザーが利用できる。ぷららとオンラインティーヴィが各プロバイダに映像サービスを提供し,プロバイダは宣伝,契約,料金回収,サポートなどを担当する。さらにSTBは,沖電気工業,住友電工ネットワークス,NTT東日本が販売する。ぷららとオンラインティーヴィの発表と同時にプロバイダやメーカー各社も,対応を発表した。

 ぷららの板東浩二社長は,「東日本のほとんどのエリアで提供できる。ブロードバンドの代表的なサービスにしたい」と期待を込めた。今後1年間で,20万加入を獲得する計画だ。ソフトバンク・グループのBBTVとKDDIの光プラスTVは,どちらも加入者が数千しかいない状況。ぷららの計画が実現すれば,映像サービスの普及が急速に進むことになる。

(中川 ヒロミ=日経コミュニケーション