xDSL(digital subscriber line)事業者の東京めたりっく通信は,2月に既存のADSL(asymmetric DSL)サービスを高速化すると共に値下げする。NTT地域会社のサービスへの対抗策であり,バックボーンにNTT地域会社から借り受けた光ファイバ(ダーク・ファイバ)を活用することで高速化とコスト削減を実現する。

 東京めたりっく通信は現在,通信速度が異なる2種類のADSLサービスを提供中。月額5500円の「Single640」は,下り(NTT局からユーザー宅方向)が最大640kビット/秒,上り250kビット/秒。月額8000円の「Single1600」は下りが最大1.6Mビット/秒,上りが最大270kビット/秒である。この2メニューを2月からは,1メニューに統合する。新メニューの「Single」は,料金はSingle640の月額5500円のままで,最大速度は下り1.6Mビット/秒,上り288kビット/秒に変更する。この結果,Single640は高速化,Single1600は値下げしたことになる。さらに,3月には下り最大3Mビット/秒のサービスを月額1万円程度で,東京23区から開始する。

 東京めたりっく通信が高速化や値下げに踏み切った背景には,NTT地域会社のADSLサービスや,光ファイバの開放がある。NTT地域会社が2000年12月に開始した「フレッツ・ADSL」サービスは,最大速度が1.5Mビット/秒。東京めたりっく通信の既存メニューと比較すると,速度や料金でフレッツ・ADSLの方が割安になっていた。このため東京めたりっく通信は,フレッツ・ADSLへの対抗策として既存メニューの高速化と値下げに踏み切ったわけだ。

 さらに,ダーク・ファイバによってバックボーンの高速化やコスト削減が可能になったこともサービスの高速化や値下げにつながった。東京めたりっく通信は,NTT東日本が2000年12月に開放した光ファイバを活用してバックボーンを構築する計画。ダーク・ファイバを使えば,利用中のNTT地域会社のATM(非同期転送モード)専用線よりも,バックボーン・コストを抑制できる上,容易に大容量化できる。実際,東京めたりっく通信は1月24日の記者会見で,東京八重洲の本社とNTT東日本丸の内局との間で借りた2心のダーク・ファイバで1Gビット/秒以上の高速伝送を実演。高速性をアピールした。さらに,光ファイバを集合住宅やテナント・ビルに引き込み,ビル内をADSLやVDSL(very high bit rate DSL)で接続するサービスを想定したデモも実演した。

(中川 ヒロミ=日経コミュニケーション)

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