2月20日に迷惑メール対策の新製品「サーフコントロール リスクフィルタ」を日本市場に投入した英サーフコントロール。迷惑メールの送受信を止めたり,メールによる顧客情報の漏えいを阻止できるアプライアンス製品だ。参考価格は310万円からとなっている。来日したマーク・トゥルーディンガー・アジア地区副社長(写真右)と,日本支社の陳宇耀・代表取締役(写真左)に,同社の迷惑メール対策の考え方を聞いた。(聞き手は山崎 洋一=日経コミュニケーション

──新製品「リスクフィルタ」の新しい機能を教えてほしい。

 「リスクフィルタ」は,MTA(message transfer agent)機能を持ち,オプションで米マカフィーのウイルス対策エンジンも追加できる。だが中心は迷惑メール対策だ。同一のIPアドレスから届く大量の迷惑メールをストップする機能や,社内から外部に向けた迷惑メールの送信を阻止する機能などを搭載している。

──日本では今後迷惑メール対策が本格化していくと見ているのか。

 今,日本ではフィッシングが問題化している。我々は,迷惑メール対策もそれに続けて大きくなる問題だとみている。実際,2004年から日本でも迷惑メールが急増していると聞く。リスクフィルタは企業向け製品だが,もちろんプロバイダの迷惑メール対策にも有効だ。

──既に国内には迷惑メール対策製品や,情報漏えいを防ぐメール・フィルタリング製品が多数売られている。こうした競合製品と比較してのリスクフィルタの利点とは。

 3点あると考える。一つは日本語にローカライズしてあること。もう一つは,サーフコントロールはURLフィルタリングやメール・フィルタリングといった技術に集中して製品を開発してきたことだ。我が社は,Webとメールのフィルタリング分野でのナンバー1だと自負している。
 三つ目は,リスクフィルタは社内に入ってくる迷惑メールだけではなく,社内から出て行く迷惑メールの両方を制御できること。社内から出て行くメールも企業ネットワークにとって脅威の一つとなり得る。

──社内から出て行くメールにも気を配る必要があるのはなぜか。

 優れた迷惑メール対策製品を導入しても,それが入ってくる迷惑メールしか見られないとしたら,どういうことが起こり得るか考えて欲しい。例えば,従業員がWebメールなどを使ってウイルスをダウンロードしてしまったために,パソコンがゾンビ化(クラッカの遠隔操作を可能にしてしまう状態)するケースがある。その従業員のパソコンが「スパム送信機」になってしまうわけだ。
 ウイルス対策も必要だが,それをすり抜けてパソコンにゾンビが入り込んでしまったら,顧客から苦情が殺到したり企業の評判が落ち,メール・システムに悪影響を及ぼすといった事態になりかねない。こうした可能性に気付かない企業は多い。企業に入ってくる迷惑メールは,メールのリスクの一部分にすぎないのだ。