日本信販とUFJカードは2月7日、次期基幹系システムについて、JCBからソフトの提供を受けることを発表した。日本信販とUFJカードは2005年10月に合併予定。合併後の業務基盤となる新システムに“JCB製”のソフトを採用することで、システム開発コストの削減を狙う。合併後の新会社における新システムの稼働は、2008年度中を予定する。

 JCBは現在、基幹系システムの再構築を進めている。2006年から順次稼働させる計画だ(日経コンピュータ2004年10月18日号レポート注1参照)。日本信販とUFJカードは、JCBの次世代基幹系システムが稼働し次第、JCBからソフトの提供を受け、新会社の基幹系システムのベースとする。新会社固有の機能は独自に開発し、“JCB製”の基幹系システムに追加する。ハードは新会社が独自に用意する。JCBのシステムをASPサービスのように利用するわけではない。

 このソフト共同利用は、JCBにとってもメリットがある。日本信販とUFJカードは、現在JCBが開発を進めている次世代基幹系システムのコスト(本誌推定で約500億円超)を一部負担するからだ。「ソフトを販売し、その対価を新会社からもらうというイメージ」(JCB)である。ただし新会社の負担額は公表していない。今後JCBと新会社は、ソフトの共同利用にとどまらず、ハードウエアの共同調達や、システム監視や帳票出力などシステム運用の共同化も検討していく。

 JCBはもともと次世代基幹系システムを、他カード会社との共同利用を前提に開発を進めている。今回の日本信販とUFJカードにソフトを提供した件は、「この実現形態の一つ」(JCB)であり、JCBは他のカード会社にも採用を働きかけていく。

 こうしたカード会社のシステム共同利用の動きは、ほかにもある。UCカード、クレディセゾン、オリエントコーポレーション、イオンクレジットサービスなど、みずほフィナンシャルグループと関係の深いカード4社は昨年、通信制御システム(FEP)の共同化を済ませている(日経コンピュータ12月13日号ザ・プロジェクト参照)。

 なお、本日一部の新聞で「JCBが次期基幹系システムの共同利用をカード51社に打診」という主旨の報道が出た。この報道についてJCBは、「JCBのブランドを採用しているカード各社様が集まる会などの場で、新システムのコンセプトを紹介したことはある。この件が拡大解釈されたようだ」とコメントした。

高下 義弘=日経コンピュータ

注1:リンク先のレポートは、日経コンピュータ読者限定ページ。