ソフトバンク・グループの日本テレコムが、固定電話サービスを12月1日に開始する。NTT東西地域会社がIP電話サービスに進出する一方で、ソフトバンク・グループは、NTT東西最後の牙城に切り込む。サービス名は「おとくライン」。月額基本料金がNTT東西より100~200円安く、通話料金を個人は最大で半額、法人は最大で55%割り引くのが特徴。電話加入権(7万2000円)も不要だ。現在の電話番号はそのまま利用できる。

 「現在固定電話の市場は、基本料金が1.8兆円、通話料金が1.4兆円ある。NTT東西が独占しているこの市場へ切り込む」と、ソフトバンク・グループ代表の孫正義氏は意気込む。ただ、ソフトバンク・グループはすでにIP電話サービス「BBフォン」を提供中。孫代表は、「IP電話サービスは個人向け。法人には確実に通話できる固定電話を提供する」と説明する。

 現在日本テレコムが提供しているマイラインは、NTT東西の回線交換機を結ぶ中継ネットワークのみを日本テレコムが提供している。この場合、日本テレコムは、NTT東西に交換機に接続するための接続料金を支払わねばならない。ユーザーにとっても、日本テレコムに通話料金、NTT東西に基本料金を、それぞれ個別に支払わねばならないという煩わしさがあった。

 おとくラインは、ユーザー宅までの設備を日本テレコムが用意する。実際には、ユーザー宅とNTT東西の交換局を結ぶ銅線(ドライ・カッパー)を日本テレコムがNTT東西から借り、日本テレコムの回線交換機に収容する。これにより、NTT東西との接続コストを抑える。ユーザーは、日本テレコムに基本料金と電話料金を支払う。

 基本料金は地域によって異なるが、ほとんどの地域で安くなる。これまでNTT東西の料金が1750円だった個人は1550円に、2600円だった法人は2400円になる。NTT東西の工事費用(1万5000円程度)は初期費用としては徴収せず、月額料金として100円ずつ課金することで、移行時のしきいを下げる。

 さらに、サービス開始と同時にキャンペーンを実施。三つの電話番号への通話を1年間無料にするほか、19時~23時までの市内通話料金を1年間9割引きにする。緊急通報やキャッチホン、ナンバーディスプレイ、ダイヤルインなどの付加サービスは、NTT東西と同等のものを同じ料金で提供。ただし、キャンペーンとして利用開始から3カ月間は無料で利用できるようにする。

 「実は2年半前のIP電話サービス開始当初から、固定電話サービス参入を検討していた」と孫代表は明かす。IP電話サービスの場合、ADSLモデムの設置作業やサポートがサービス事業者の大きな負担になる。これを改善しようと検討を始めたのが発端だという。

 固定電話サービス参入に際してのソフトバンク・グループの設備投資は「数百億円程度」(孫代表)。この金額に抑えることができたのは、販売代理店が、販売見込みに応じて設備投資費を肩代わりする方式を採ったからだ。7月20日に発表した、ベルシステム24との提携もその一環である。「黒字化するのに何年もかかるということはない」と、孫代表は自信を見せる。

 申し込み開始は、9月1日。サービスを利用できる地域は、開始する12月1日時点では全国主要都市。来秋には全国3500の交換局が対応する予定である。

福田 崇男=日経コンピュータ