NTT東西地域会社は8月30日、マンション向けIP電話サービス「ひかり電話」の提供を始めると発表した。開始時期はNTT東日本が9月1日、NTT西日本が9月15日。当初の提供エリアは東京23区の一部と大阪府の一部に限られる。最大の特徴は、ひかり電話サービスを使えば、NTT東西との固定電話契約が不要になること。その場合は、NTT東西に月々支払っている電話基本料(1450~2390円)がいらなくなる。

 ひかり電話は「03-XXXX-XXXX」や「06-XXXX-XXXX」といった今まで使っていた電話番号をそのまま利用できる。110番や119番といった緊急通報、着信側が料金を負担する「フリーダイヤル」にも電話をかけられる。「キャッチホン」や「ナンバー・ディスプレイ」、電話転送サービス「ボイスワープ」といった付加サービスを利用可能で、使い勝手でも一般電話に引けを取らない。

 「従来の固定電話相当の品質を確保する」(NTT東日本の岡田邦明取締役コンシューマ事業推進本部ブロードバンドサービス部長)ため、通常のインターネット用ネットワークとは別に構築したIP電話サービス用のネットワークを使う。

 NTT東西にしてみれば、電話基本料が徴収できなくなるひかり電話の提供は苦渋の選択。ひかり電話のユーザーが増えると経営に悪影響を与えかねないからだ。だが、KDDIが昨年10月から同様のIP電話サービス「光プラス電話」を提供しており、KDDIにユーザーを取られてしまうのを黙って見ていられなかった。

 ひかり電話を利用できるのは、マンション向けの光ファイバを使ったインターネット接続サービス「Bフレッツ マンションタイプ」のユーザー。月額利用料金は950円(税抜き、以下同)。別途、Bフレッツ マンションタイプの利用料金やISP(インターネット・サービス・プロバイダ)の利用料金が必要となる。フレッツ マンションタイプの利用料金は9月1日に350~600円値下げし、NTT東日本の場合2500円から、NTT西日本の場合2600円からとなる。

 通話料金は、加入電話やISDN、ひかり電話ユーザーにかける場合で全国一律3分8円。NTTドコモの携帯電話への通話は1分17円、それ以外の携帯電話への通話は1分19円である。他通信事業者のIP電話にかける場合は3分当たり10.4~10.8円となる。

 主な付加サービスの月額利用料金はキャッチホンが300円、ナンバー・ディスプレイが400円、ボイスワープが500円、迷惑電話おことわりサービスが700円である。

 一戸建てのユーザーへのサービス提供や、東京23区と大阪以外への提供エリアの拡大といった今後の展開については、「やるかやらないかを含め、お客様の要望をみて今後検討していく」(岡田取締役)としている。

鈴木 孝知=日経コンピュータ