「企業の持つデータのうち8割は、整理されていない“Unstructured Data(非構造化データ)”だ。リレーショナル・データベースなどの形できちんと構造化されている情報は、2割に過ぎない。多種多様な非構造化データの検索は、当社のソフトで実現できる」。企業向け情報検索ソフトを販売する、米ベリティのアントニー・ベッテンコート社長兼CEOは、こう話す。

 米ベリティは5月に日本法人を設立。この10月から、日本での製品販売とサポートを本格開始する。同社の主力製品は、「Verity.K2 Enterprise」と、その廉価版に位置づけられる「Verity.Ultraseek」である(別記事を参照)。

 同社の製品を使うと、(1)リレーショナル・データベースのデータ、(2)XMLやHTML形式などの文書データ、(3)社員が個人で作成したWordやExcelのファイル、(4)ユーザーIDをはじめとした社員のデータを、まとめて検索できるという。ベッテンコート社長兼CEOは、「4種類のデータを一元的に扱い、横断的に検索できるソフトは当社の製品だけだ」と主張する。同社は自社ソフトの分野を、「知的資産管理(Intellectual Capital Management)」と称している。

 これまでもベリティはNECをはじめとしたインテグレータやソフト販売会社を通して同社の製品を販売してきた。アンドル・ファイト マーケティング担当上級副社長は、「日本は、世界で最も重要な経済圏の一つ。今回、日本法人の活動を本格化することで、日本市場での拡販を狙うのと同時に、販売代理店のサポートを強化する」と意気込む。

 ファイト上級副社長によると、独シーメンスや米ファイザー、米シティグループなど、欧米の大手企業が同社の製品を利用しているほか、日本でも既に約50社が同社製品を利用しているという。

 同社製品を利用することで、特に大きな成果を上げているのが、研究開発部門や調査部門だという。「内外の論文や資料、顧客の声を一元的に扱って検索することができるため、調査にかかわる仕事の効率が一気に高まった。こうした声を顧客から頂いている。評価してもらっている顧客は例外なく、爆発的に増える社内データに困り果てていた。こうした先行事例を基に、日本市場での浸透を図りたい」(ファイト上級副社長)。

 今後の製品改善の方向は二つ。一つは、Webサービスへの対応。もう一つが、検索結果の表示機能の強化である。プラバカー・ラガバーン上級副社長兼CTO(最高技術責任者)は、「Webサービスの機能を使うことで、異なるシステムに存在するデータにアクセスしやすくなる」と話す。ラガバーン上級副社長は「知的エージェントなどの将来技術も、情報検索技術の向上に有効だろう」と展望を語る。

高下 義弘=日経コンピュータ