「企業は電子データを価値ある知的資産と位置付け、データ全体を効率的に管理していく仕組みを早急に整備すべきだ。電子データの容量は年々肥大化を続け、価値ある情報を見つけ出すのがますます困難になっていく。電子データの活用効率が、企業競争の勝ち負けを左右するといっても過言ではない」。検索エンジンの開発・販売や企業ポータルの構築支援を手掛ける米ベリティの日本法人で、セールスディレクターを務める椿一志氏は、こう断言する。

 椿氏によれば、企業が保有する電子データは大きく4種類に分けられるという。データベースで管理された「構造化データ」と、XMLなど一定のルールに基づきデジタル化された「半構造化データ」、社員が個人で作成してファイル・サーバーに格納した販売レポートのような「ばらばらなデータ」、そしてユーザーIDをはじめとする「人々のデータ」だ。

 「4種類のデータは従来、横断的に比較するのが難しかった。4種類のデータをすべて検索対象とする検索システムがなかったからだ」(椿氏)。販売管理システム(構造化データ)の検索機能を使えば、営業担当者はシステムに格納された顧客データを入手できる。しかし、その顧客データとファイルサーバーに置いてある顧客ファイル(ばらばらなデータ)をまとめて扱うのが難しい、といった具合である。

 こうした問題の解決策は、検索システムの強化であるという。ベリティ日本法人の小玉孝ディレクターは、「検索対象を社内の電子データ全体に広げ、検索者の権限に応じて検索対象を絞り込む仕組みを確立すべき」と説明。さらに「検索者の属性に応じて結果を整理し、並び替えて表示するのが効率的だ」と続ける。

 例えば社員がある自社製品を検索キーワードとして入力した場合、社員の所属が販売部門であれば販売実績にかかわるデータが優先的に、生産部門であれば在庫や部品に関する情報から順に表示される。さらに同じ販売部門でも、責任者と一般の担当者では検索結果の表示が異なる。こうした検索システムが理想というわけだ。

 ベリティは企業における検索システムの構築を支援する製品「Verity.K2 Enterprise」を提供している。「日本でもすでに約50社程度の企業が、Verity.K2 Enterpriseを導入して知的資産の管理に乗り出している」(椿氏)。

 Verity.K2 Enterpriseの価格は、最小構成で700万円程度から。ハードウエアと導入費用は別途必要。日本ではNECや、日本IBMとオムロンの合弁会社アルファテック・ソリューションズなどのパートナー企業が販売している。

 ベリティはこのほか、廉価版製品の「Verity.Ultraseek」(数十万円から)も販売する。Verity.Ultraseekは検索エンジン大手、米Inktomiの企業向け製品を買収したものである。

(大和田 尚孝=日経コンピュータ)