NECのVersaPro


東芝の液晶部分が回転するタブレットPC


富士通のデスクトップPCとしても使えるタブレットPC

 NEC,ソーテック,東芝,ビューソニックジャパン,富士通,ペースブレード ジャパン,台湾Acer社は2002年10月16日,東京・有明で開催中の「WPC EXPO 2002」に新しいペン操作型パソコン「タブレットPC」を展示した。マイクロソフトが2002年11月7日に出荷を開始する「Windows XP Tablet PC Edition」を搭載する。参考出品のメーカもあるが,いずれもほぼ正式な製品に近いものである。

 形状は,ピュア・タブレット型とノート・パソコン変形型の大きく2種類に分かれる。ピュア・タブレット型は,NEC,ビューソニックジャパン,富士通,ペースブレード ジャパンの製品。ノート・パソコン変形型はソーテック,東芝,Acerの製品である。いずれも液晶に電磁誘導式ディジタイザを内蔵する。

 NECのタブレットPC(写真上)は,2003年1~2月に発売予定で価格は未定。厚みが15mm以下,重量が1kg以下と薄型軽量なのが特徴である。企業向けの「VersaPro」ブランドの製品になる。個人向けの「LaVie」ブランドで店頭販売するかどうかは未定だ。CPUはモバイルPentium IIIで10.4インチTFT液晶ディスプレイを搭載する。10BASE-T/100BASE-TXのLAN機能と無線LAN機能を内蔵する。無線LANは,802.11b規格以外に11aや11gといった新しい規格に対応する可能性もあるという。キーボードはオプション。光学式キーボード(【WPC EXPO 2002 速報】NEC,キーのない光学式キーボードを参考出品参照)もオプションとして検討している。

 東芝のタブレットPC(写真中)は,ノート・パソコンの液晶部分を180度回転させて閉じることによりタブレット型に変形する。ノート・パソコン形状の時はトラック・パッドでも操作できる。発売時期や価格は未定。

 ビューソニックの「V1100 Tablet PC」は,ピュア・タブレット型。モバイルPentium III 866MHzを搭載し,主記憶は256Mバイト以上,ハードディスクは20Gバイト。ディスプレイは10.4インチTFT液晶。インタフェースは,USBが2基,IEE1394,PCMCIA,CompactFlash,外部CRTをそれぞれ1基ずつ備える。10BASE-T/100BASE-TXのLAN機能と802.11bの無線LAN機能,モデム機能を内蔵する。重量は約1.5kg。主に法人向けで,病院や学校,商品管理などの用途を見込んでいるという。出荷時期は,案件があれば2002年11月7日から可能だが,おそらく2003年に入ってからになりそうだという。価格は20万円前半を目指すとしている。

 富士通のタブレットPC(写真下)もピュア・タブレット型だが,標準で付属するドッキング・ステーション,ワイヤレス・キーボード,マウスを接続することによりデスクトップ・パソコンとしても使える。ドッキング・ステーションに装着した状態で画面を90度回転でき,縦・横両方の画面で利用できる。出荷は2002年12月で,価格は30万円前後の予定。主記憶は標準256Mバイト。ハード・ディスクは40Gバイト。液晶は10.4インチTFT液晶。インタフェースは,USBが2基,IEE1394,IrDA1.1,外部CRT,PCカード,マイク端子,ヘッドフォン端子をそれぞれ1基ずつ備える。10BASE-T/100BASE-TXのLAN機能と802.11bの無線LAN機能,モデム機能を内蔵する。重量は約1.48kg。ドッキング・ステーションにはCD-RW/DVDコンボ・ドライブを内蔵する。

 ペースブレードのタブレットPCは,2002年内に出荷を予定している。価格は20万円台後半。米Transmeta社のCrusoe TM5800 867MHzを搭載する。主記憶は256Mバイト(最大640Mバイト),ハード・ディスクは20Gバイト(最大60Gバイト)。インタフェースは,USBが2基,IEE1394,PCカードを1基ずつ備える。10BASE-T/100BASE-TXのLAN機能とモデム機能を内蔵する。オプションは,赤外線接続の無線キーボード,タブレット上部に取り付けるカメラなどを予定している。

 ソーテックの「AFiNA Tablet AT380B」とAcerの「TravelMate C100」はほぼ同じ製品で,いずれもAcerが製造する。TravelMate C100は,日本ではシネックスが主に法人向けに販売する。価格はAFiNA Tablet AT380Bが25万~26万円でTravelMate C100が25万円弱。両者の違いは,プリインストール・ソフトと付属品。AFiNA Tablet AT380Bは「Office XP Personal」や「Ulead Photoimpact 7 SE」,「筆ぐるめVer.10」などのソフトが付属するのに対し,TravelMate C100はOSのみ(Office XP付属版は検討中)。一方,TravelMate C100には標準バッテリが2本付属し,本体に収納できる標準のスタイラス型ペン以外に大きめのペンも付属する。ハードウェアのスペックは共通。超低電圧版モバイルPentium III 800MHz,主記憶256Mバイト(最大256Mバイト),30Gバイトのハード・ディスクを搭載する。インタフェースは,USBが2基,IEE1394,IrDA1.1,外部CRT,PCカード,Smart Cardスロット,マイク端子,スピーカ端子をそれぞれ1基ずつ備える。10BASE-T/100BASE-TXのLAN機能と802.11bの無線LAN機能,モデム機能を内蔵する。重量は約1.5kg。

 WPC EXPO 2002では,タブレットPCに対応予定のソフトウェアもデモンストレーションしていた。はがき作成ソフトのクレオ「筆まめ」や富士ソフトABC「筆ぐるめ」,ティーファイブのCADソフト「CAD+ Lite」,ヴァル研究所の経路探索ソフト「駅すぱあと」などが対応を予定している。

(大森 敏行=日経バイト)