米McAfeeのウイルス対策技術研究機関であるMcAfee AVERT(Anti-Virus Emergency Response Team)は,最近見つかった「Bagle」ワームの亜種「W32/Bagle.aq@MM(Bagle.aq)」の危険度評価を「中」とした。同社が米国時間8月9日に発表した。新しい亜種は,電子メールを大量送信するワームでZIP形式のファイルで送信される。

 McAfee AVERTはすでに150件以上の検出および感染報告を受け取っている。これまでに受け取った感染報告のほとんどは,ブラジル,カナダ,フランス,オランダ,台湾,米国から寄せられている。その大半が企業ユーザーではなく一般ユーザーからのものだった。

 Bagle.aqは,自身のSMTPエンジンを使って送信メールを作成する。ローカル・ファイルから電子メール・アドレスを収集した電子メール・アドレスを「From」欄(発信者)に用いて自身を送りつけるため,受取人は送信元を特定できない。

 このワームは,リモート接続コンポーネントも内蔵しており,感染したコンピュータがワームの作成者に通知する。また,発症すると「shar」の文字列を含むフォルダ(一般的なピア・ツー・ピア・アプリケーションのフォルダ)に自身の複製を作成する。

 ワームが送信するZIP形式のファイルには,HTMLとEXEファイルが格納されている。EXEファイルは,ZIPファイルの中にあるため,Explorerで見るとHTMLファイルと別のフォルダしか見えない(「WinZip」や「PKzip」といったスタンドアロンのZIP解凍アプリケーションではEXEファイルが見える)。HTMLファイルに含まれるコードは,脆弱なシステムにおいてトロイの木馬型ダウンローダであるEXEファイルを自動的に実行する。このダウンローダは,多数のWebサイトにアクセスしてウイルスを検索する。

 電子メールは以下のような内容で届く。
-------------------------------------------------------------
発信者:(偽装電子メール・アドレス)

件名:(無題)

メッセージ本文:
・new price

 ZIPファイルがパスワード保護されていることを説明し,メッセージ本文に次の記述とパスワードのイメージ・ファイルを埋め込んでいる場合もある。
・The password is
・Password:

添付ファイル:(以下のいずれか)
・price.zip
・price2.zip
・price_new.zip
・price_08.zip
・08_price.zip
・newprice.zip
・new_price.zip
・new__price.zip

 ZIPファイルには,2つのファイルPRICE.EXEとPRICE.HTMLが格納される。

 EXEファイルが実行されると,Windows Systemディレクトリに自身を「WINDIRECT.EXE」として「C:\WINNT\SYSTEM32\WINdirect.exe」のように複製する。また,このデシレクトリにDLLファイル「_dll.exe」を追加する。

 また,起動時に自動実行するように次のレジストリ・キーを追加する。
・HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Run "win_upd2.exe" = C:\WINNT\SYSTEM32\windll.exe

・KEY_LOCAL_MACHINE\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Run "win_upd2.exe" = C:\WINNT\SYSTEM32\windll.exe

 トロイの木馬型ダウンローダがウイルスの実行ファイルをダウンロードして実行すると,ウイルスは,Windows Systemディレクトリに自身を「WINDLL.EXE」として「C:\WINNT\SYSTEM32\windll.exe」のようにコピーする。自身の機能を実行する他のファイル「C:\WINNT\SYSTEM32\windll.exeopen」,「C:\WINNT\SYSTEM32\windll.exeopenopen」ともこのディレクトリに作成する。

 また,起動時に自動実行するように次のレジストリ・キーを追加する。
・HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Run "erthgdr" = "C:\WINNT\SYSTEM32\windll.exe"
・HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Ru1n

 同ワームは,ターゲットマシンのポート80(TCP),ランダムなUDPポートを開く。

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