英Sophosは,2003年におけるコンピュータ・ウイルスの被害状況をまとめた結果を,米国時間12月3日に発表した。それによると,今年Sophos社に寄せられた被害報告のうち,「Sobig-F」が約5分の1を占めたという。また2003年8月は,Sobig-Fをはじめ,「Blaster-A」や「Nachi-A」による被害が集中し,ユーザーは多大な悪影響を受けた。ウイルス検出のワースト10は以下の通り。

■2003年のコンピュータ・ウイルス被害状況

1.   W32/Sobig-F(Sobig variant)       19.9%
2.   W32/Blaster-A   (Blaster worm)   15.1%
3.   W32/Nachi-A(Nachi worm)           8.4%
4.   W32/Gibe-F (Gibe variant)         7.2%
5.   W32/Dumaru-A    (Dumaru worm)     6.1%
6.   W32/Sober-A(Sober worm)           5.8%
7.   W32/Mimail-A    (Mimail worm)     4.8%
8.   W32/Bugbear-B   (Bugbear variant) 3.1%
9.   W32/Sobig-E(Sobig variant)        2.9%
10. W32/Klez-H (Klez variant)          1.6%

その他   25.1%

出典:Sophos社

 「Sobig-Fが2003年最悪のワームであることは間違いない。電子メールを悪用して,これまでのウイルスとは比較にならない勢いで被害を拡大した。また,Sobigの作成者は,どのウイルスが最も感染を拡大できるかを試すかのように,変種ウイルスを次々と作成した。米MicrosoftがSobigの作成者に500万ドル報奨金をかけているが,まだ犯人を特定できていないようだ」(Sophos社上級セキュリティ・アナリストのChris Belthoff氏)

 Sophos社は2003年のウイルス傾向も明らかにした。ワースト10に登場したウイルスはすべて,32ビットのWindows OSを狙ったものだった。「ウイルス作成者は2004年も,Windows 32ウイルスを使って感染を広めようとするだろう」(Sophos社)

 また,システムにバックドアを仕掛けるトロイの木馬型が急増している。クラッカ(悪意のあるハッカー)は,トロイの木馬型ウイルスを使って「Remote Access Tools(RATs)」をシステムに潜入させることで,パソコンの遠隔操作を可能にする。2003年に被害が大きかったトロイの木馬型としては,Windowsの修正パッチを装った「Graybird」や,猥褻な写真に見せかけた「Sysbug」などがあげられる。

 米メディア(CNET News.com)によると,RATsが増加している要因に,インターネットに常時接続するブロードバンドの普及があるという。「スパム・メールの約3分の1は,RATsによって乗っ取られたパソコンから配信されている」(Sophos社上級テクノロジ・コンサルタントのGraham Cluley氏)

 なお,Sophos社は2003年に新たに7064種のウイルスを検出しているという。これで同社のウイルス検出数の累計は8万6000種以上となった。

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