「プライバシに無関心な人が減少する一方で,プライバシを重視するものの,場合によっては個人情報を提供しても構わないと考える米国成人が増加している」。米Harris Interactiveが米国成人のプライバシに関する認識について調査した結果を,米国時間3月19日に発表した。

 調査は2003年2月12~16日にかけて,米国成人1010人を対象に電話によるアンケートを実施したもの。

 Harris Interactive社とともに調査にあたった米Privacy & American Businessの社長 Alan Westin氏によると,人々のプライバシに対する認識をもとに三つのグループに分類できるという。

「プライバシ原理主義者」:プライバシを非常に重視しており,これ以上プライバシが侵害されることに強い抵抗感を感じている。

「プライバシ現実主義者」:プライバシを重視し,個人情報保護に対する意識は高いものの,個人情報の用途や保護方針が明確であったり,個人情報提供によって恩恵が受けられる場合は個人情報の提供を厭わない。

「プライバシ無関心者」:プライバシに無関心で,個人情報の用途に関してあまり注意を払うことがない。

 米国成人で最も大きな割合を占めるのは,プライバシ現実主義者の64%である。1999年に同様の調査を行った際は54%だった。逆にプライバシ無関心者は,4年前の22%から10%へと半減した。プライバシ原理主義者は全体の26%で,4年前の25%とほぼ同じ割合である。

 その他の調査結果の概要は以下の通り。

■質問:「消費者は,企業による個人情報の収集と使用を
コントロールできない状態にあると思いますか?」
対象: 回答者全員

         強くそう思う        そう思う   そう思わない    強くそう思わない
2003       39%              30%        17%              12%
2001       32%              47%        16%               5%
2000       44%              32%        15%               5%
1999       40%              40%        13%               6%
■質問:「企業の大多数は,収集した個人情報の秘密保持を
適切に行っていると思いますか?」
対象: 回答者全員

         強くそう思う        そう思う   そう思わない    強くそう思わない
2003       9%              33%          30%              24%
2001       3%              41%          39%              18%
2000      11%              43%          25%              18%
1999      12%              53%          23%              12%
■質問:「既存の法規制や企業のビジネス慣習は,
消費者の個人情報を適切に保護していると思いますか?」
対象: 回答者全員

         強くそう思う        そう思う   そう思わない    強くそう思わない

2003       8%              37%          30%              23%
2001       4%              34%          45%              18%
2000      11%              39%          28%              18%
1999      10%              49%          23%              15%

記:「よく分からない」という回答は除外。

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