米Gartnerは米国時間5月7日,デンバーで開催中の「Gartner Spring Symposium/ITxpo2001」にて今後のIT動向に関する予測を発表した。

 それによると,2010年には先進国の70%の人々が1日当たり,現実世界におけるコミュニケーションの10倍の時間をインターネットを介したコミュニケーションに費やすようになるという。

 この傾向の追い風となるのは,常時接続可能なウェアラブル機器の普及である。現在携帯電話機を介して行われている音声によるやりとりが,電子メールやチャットなど,テキストでも可能になるからだ。2007年には,米国と欧州連合における15歳~50歳の60%以上が無線コンピューティング機器や通信機器を携帯あるいは装着するようになる。さらに,2010年にはその割合が75%以上に達するとみている。

 「チャットのようなテキスト・ベースのやりとりは,過去に行われた通信の内容や履歴が明瞭であるため,ユーザー層は一般消費者から企業ユーザーへと拡大する」(Gartner社副社長兼調査員のJackie Fenn氏)。

 企業はオンライン・トラッキング,組込型センサーやカメラなどを用いることで,ぼう大な量の顧客情報を収集できるようになる。2005年には,2000年の30倍にのぼる顧客情報を企業が日常的に収集するようになる。

 企業は,どこからでもアクセス可能な仮想コミュニティを開設することで,従業員間の協調作業を促進できる。また,顧客向けコミュニティで顧客基盤を把握し,新サービスや製品を提供して新たな収入源を獲得できる。

 しかし,Fenn氏は「ユーザーに優れたサービスを提供するための情報収集とプライバシの保護は,紙一重の問題である。現時点では,社会的および法的な許容ラインが確立されていないため,今後10年間は国や市民グループの主要な懸念事項であり続けるだろう」と指摘する。

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