4月25日に公開した記者の眼『異論・反論「RFPの作り方」』で実施したアンケートに,短期間にもかかわらず,多くのご意見を頂戴した(5月2日までの有効回答290件。うち「発注者」104件,「受注者」149件,「その他」37件)。RFPの作成やベンダーの選定のやり方について,私が取材した限りで意見が分かれる3つのテーマについて広く意見を求めたものだ。アンケートの結果も,やはり真っ二つに分かれた。
設定した3つのテーマとは,
(1)RFPに予算を記載すべきか否か
(2)質疑応答の内容を他ベンダーにも公開すべきか否か
(3)人を選ぶか会社を選ぶか
である。
さっそく結果を見ていこう。
結果は,全体的には意見が二分された。ただし,発注者側は「記載すべきでない」が多く,受注者側は「記載すべきだ」が多いというように,立場により傾向が分かれる(図1)。
図1●RFPに予算を記載すべきか否か |
発注者のそれぞれの意見は,次のコメントに代表される。
【記載すべきでない派】
「ベンダーの過去の経験を買うのだから,実績あるベンダーの見積もりは安くなるはず。提案の金額にはそれを反映できるはず。だから予算を記載する必要はない」(発注者)【記載すべき派】
「少なくともどの程度の規模のものを想定しているのかをはっきりさせなければ,レベルの全く合わない競合になってしまう。ある時,A社は1000万円,B社は1億円の見積もりを持ってきたことがある」(発注者)
アンケートの結果上は,前者が多数派,後者が少数派である。実際,私が取材する限りでも,予算を記載しているRFPはあまり見たことがない。記載する/しない以前に「自力では予算を見積もれない」という理由も大きいようだ。受注者からも次のような声が聞かれた。
「発注者側が予算を自分で見積もれるくらいの知識があれば上限価格を提示するのは意味があるが,それ以外は意味がない」(受注者)
一方,受注者に「予算を記載すべき」派が多いのは,金額ではなく,提案の内容で勝負したいとの思いによる。
「ベンツがほしいのか,カローラがほしいのかで,作る内容が大きく変わる。競争原理とは見積もり金額ではなく,機能であるべきだ」(受注者)
また,予算と提案の金額があまりにも乖離していると,受注者側も骨折り損のくたびれもうけと感じることもあるようだ。
「あまりにも予算を超過した分不相応な提案をベンダーにさせないために,上限予算の提示は必要だと思う」(受注者)
提案の質が上がるのであれば,今は少ない予算の記載も一考の余地がありそうだ。
結果は,発注者,受注者を問わず,全体的に「公開すべきだ」との意見が「すべきでない」よりやや多い(図2)。
図2●質疑応答の内容を他ベンダーにも公開すべきか否か |
まず発注者が質疑応答を「公開すべきだ」と考えるのは,情報を多く提供できるほど提案や見積もりの質が上がると考えるからである。
「RFP作成時点で要求仕様のすべてを盛り込めるとは限らない。それゆえ,見積もりの精度を上げるためには質疑応答の内容は公開すべきだ」(発注者)